動物愛護-ジョンのお母さんの場合

03 June 2016


ジョンのお母さんが4月末に亡くなりました。突然の心臓マヒでした。ジョンがいない夜は外からヘルパーさんに入ってもらっていたのですが、幸い、亡くなった日はジョンがお母さんの許に戻っていたので、家の中で倒れたお母さんを見取ってあげることができて本当によかったと思っています。 マンチェスターで親族だけの簡素なお葬式を済ませて主のいなくなった家に戻ると4匹のネコが残されていました。あまり外出もせず、ほとんど家の中にいたお母さんの許で暮らしていたネコ達は不安なのでしょうか、馴れているジョンの後を付いて回っています。亡くなってから一ヶ月が過ぎ、一匹は親戚を通して貰われていきましたが、あと3匹残っています。ジョンがいない時は近所の男の子に一日一回えさをあげに来てもらっています。私達は、お客さんにネコアレルギーの人もいるので引き取るわけにはいかないので、ネコ専門のボランティア団体、キャット プロテクション(Cat Protection)に連絡をして里親を探してもらうことにしました。この団体には以前にもお世話になったことがあります。003.JPG004.JPG
4年前、お母さんの家にはすでに5匹のネコがいたので、これ以上は面倒見切れないから増やさないように、と何度もジョンから言われていたのに、お母さんはネコの品評会を見に行った際、この子が私を呼んでいた、と言い訳しながらメスの子猫を買ってきてしまったのです。理屈よりも感情で動く人、とはジョンのお母さん評です。避妊手術をしなければ、と言いながら先延ばしにしていたので、獣医さんに連れてに行った時にはすでに、妊娠してます、と告げられ、そのまま連れ帰り、結果、3匹の子猫が生まれ、合計8匹に増えてしまいました。ジョンが子猫のうちの2匹をチェルトナムに連れ帰り、Cat Protection に連絡して、里親を探してもらったのです。ネコの写真を送ると里親探しのサイトに載せてくれるのです。いまさら2匹の姉妹ネコを引き離すのはかわいそうと、2匹をセットで引き取ってもらうように頼んだ、と聞いて、私は、一匹でももらってもらえればありがたいのに2匹一緒なんて引き取り手がいないのでは、と思ったのですが、さすがイギリス、というべきでしょうか、サイトに出してから4ヶ月かかりましたが、貰ってくれる家族が現れたのです。引き取りが決まると、両サイドから団体にお礼としていくらか寄付するシステムです。6匹になったお母さんのネコは4年の間に老衰で2匹が死に4匹が残されたわけです。

私は、イギリスはペット大国、と常々思っています。子供のいる家庭、1人暮らしのお年寄りとさまざまな人がペットを飼いますが、私がびっくりしたのは、英語のコースを取っていた時に(もう30年以上前になりますが)シェアしていた家に20歳そこそこの若い一人暮らしの男性が猫を飼っていたことです。最近はどうかわかりませんが、その頃、日本で1人暮らしの若い男の子が犬やネコを飼う、というのは聞いたことがなかったのです。黒猫なのに足先だけが白いので名前はソックス、とその男性が飼い猫を紹介してくれたのを今でも覚えています。 チェルトナムの郊外に散歩で出かけると、犬を連れた人を数多く見かけます。しつけもよく行き届いていて、犬のケンカは見たことがありません。どの犬ものびのびとして楽しそうに野原を走り回っています。それでも、中にはひどい環境で飼われる動物もいるのです。虐待されているらしいとの通報を受けると、動物愛護団体の人が駆けつけ、家の中から動物を保護、センターでリハビリをして、心身共に健康を戻した猫や犬は里親を見つけて引き取られていきます。ペットを虐待したり、世話を放置したことが確認されると、法律で何年か動物を飼うのを禁止されたり、悪質なケースの場合は実刑もあるそうです。安楽死はさせない方針とのことです。犬の保護センターとして、ロンドンのバタシーの施設が有名です。テレビの番組でも時々紹介されますが、りっぱな施設の中で獣医さんを含めて何人ものスタッフが保護された動物の世話をしています。ガリガリにやせた犬、ぼうぼうに伸びた毛に覆われたテリアなど見てみて胸が痛くなるようなひどい状態の犬たちが、施設の人たちの献身的な介護で元気になっていき、新しい里親に引き取られていく様子はハッピーエンドで心が和みます。他にも、ネコ、馬(飼い切れなくなって野原に置いていかれるそうです)、小動物では、バジャー(アナグマ)、ヘッジホッグ〔ハリネズミ)ふくろう、などなど、それぞれのボランティア保護グループがあります。運営はすべて寄付で成り立っているそうです。遺言で財産をこうした動物愛護団体に寄付する人も多いと聞きます。もちろん、チャリティショップの売り上げも大きな運営資金になります。
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エキセントリックと言う言葉が似合ったジョンのお母さんは生き物を保護する本能が人一倍強かったようで、それにまつわるエピソードも数多く残っています。飼い猫の他に、えさを目当てにやって来る近所のネコの首輪がきつそうだからと、外して捨ててしまったこと、庭にやって来る野鳥、リス、ヘッジホッグ、キツネなどにせっせとえさをあげて、本人の食費よりも動物用のえさ代の方が出費が多かったこと。おかげでハトが増えたと近所から苦情が来てもなんのその、でした。元気で働いていた頃、休暇で家を何日か空ける時はジョンが泊まりがけでえさをあげに行っていたのですが、A4の紙にびっしりとそれぞれの動物のえさのあげ方が書いてあり、最後に、チキンが冷蔵庫に入っているから、とはジョンのための一行でした。時々、えさ用の種、ピーナッツを持ち帰ってきたので、どうしたのか、と聞くと、指図通りにえさがはけなくて、戻ってきたお母さんに怒られるから持ち帰った、とのこと。家の中にクモを見つけると、ジョンに、お腹が空いているようだから、ハエを取ってきてあげて、と冗談のような話も残っています。晩年、ジョンが外に散歩に連れ出した際、歩道にカタツムリを見つけると、安全な場所に移すように、との指示があったそうです。雨上がりの日には15匹のカタツムリを動かした、と。 母親も母親ならそれに従う息子も息子だと思うのですが。。。 
何はともあれ、お母さんのためにも残されたネコ達にいい里親が見つかるように願ってやみません。
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チェルトナム郊外のレックハンプトンの丘に咲いていた野バラです。

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