今年のシーズンを終えて。

09 September 2017


sep 2017 014.JPG4日前の朝、二週間英語のレッスンで滞在したご夫婦をお見送って18年目のシーズンが終りました。始めた頃は一年中オープンしていたB&Bも、お客さんがほとんどいない冬場を閉め、去年からは営業期間はもっと短くなりました。自分の歳を考えると、自由に動ける期間はそれほど長くないと感じるので、出来るうちにやりたいことをする、というかなり勝手な理由からです。
 ミレニアムを迎えた2000年の1月から途中一年間の休業期間はありましたが、18年も続いたことに感慨深いものがあります。1999年のクリスマスの後に引っ越してきたのですが、年明けの3日には知り合いの英語塾の女性が中学生の生徒を連れて入る予定だったので、毎日、遅くまで壁紙の張替え、ペンキ塗り、必要な家具を揃えて、と必死になって開業の準備をしたことがつい最近のことのように思えます。
1992年にマンチェスターでジョンと暮らし始めた時の仕事は日系企業の駐在員のアシスタントでした。二年後に東京へ引越し、成増駅の近くに部屋を借りて3年半を過ごし、再び、イギリスに戻ってきたのが18年前です。専門職を持たない日本人にとって仕事の選択肢はあまりありません。東京暮らしの後で、大都会も、日系企業ももういいかなと。それでは何ができるか。朝食付きの宿、B&Bなら私にもなんとかできるかも、と消去法で選んだのが今の仕事です。ジョンも日本での経験から、英語の教師が意外にも自分に合っていることがわかり、B&Bと英語のレッスンの共同ビジネスで行こうということになったのです。イギリスに戻って、まず中古車を購入して、B&B プラス ホームスタデイの出来る家探しの旅に3ヶ月を費やしました。南部の海岸は保養地で英語の学校も多いので、夏休みで一般に学生寮を解放しているブライトンとボーンマスの大学の寮をベースにして、あちこち私達の条件を満たす家を探したのですが、思うような家がみつかりませんでした。その後に、ヨーク、湖水地方、オックスフォード、ストラットフォードと観光客が集まる町を見て回ったのです適当と思われる物件がなく、もう見つからないかも、と半分あきらめた頃に訪れたのがチェルトナムでした。昔、英語の勉強で一年間住んでいたことがあり、その時の友達を訪ねる目的でした。その当時はコッツウォルズはまったく知られていなかったので、候補地としては考えてもみなかったのです。イタリア人の友人に、この町は文学際などのイヴェントも多いし、観光客も来るから、この街で探してみたらと薦められ、不動産屋さんから紹介されたのが現在住んでいる家です。電車の駅と商店街のある中心地の中間に位置し、周囲も静かで、B&Bにはちょっと狭くはありましたが、家の値段も予算内、二人で即決めました。あれほどイギリス中探したのに、決まるときはこんなに簡単に決まるんだ不思議な気がして、家にも「縁」があるのか、と思ったほどでした。
 sep 2017 015.JPG始めた頃は、町の観光案内所の宿泊リストに登録してイギリス人のお客さんを取っていましたが、さまざまな人がやってきました。夜遅くに酔っ払って帰ってきて玄関の鍵を壊す、一日中部屋に篭る人、など、観光客以外のお客の方が多かったくらいでした。翌年の春、ステインクロスの名前がなぜか宿泊リストからもれてしまい、それを機会に登録をやめることにしました。ガイドブックにも載せず、宣伝媒体もなかったので、お客さんは口コミ、知り合いを通してのみです。ジョンの方は、幸い、その当時はチェルトナムの語学学校に通う日本人が多く、1人、英語の試験勉強のためにと通いでレッスンに来始めると、次々と日本人学生が増えていきました。そのうちに、日本人が減ったなあと思った頃には、韓国人学生が増え、通いの生徒のレッスンで忙しく、B&Bのお客が少なくても生活は成り立っていたのです。それでも、東京で会社勤めをしていた時の給料に比べて収入の少なさにため息が出たものです、自営業の厳しさを味わったのもこの頃です。ローンはやめようと、東京にいた頃に必死でお金を貯めて、なんとか現金で家を買ったのは正解でした。収入は少なくても、2人だけの生活費はたかがしれています。ローン返済のストレスがないことは幸いでしたが、B&Bのビジネスは細々としたものでした。おまけに、春先に、口蹄疫、サーズ、鳥インフルエンザ、イラク戦争、と毎年なにかしら事件が起こり、このままではまずい、と危機感を持ち、日本人のウエブサイトデザイナーにお願いしてホームページを開くことにしたのです。結果、効果はてきめんです。北は北海道から南は沖縄と、数はそれほど多くありませんでしたが、日本各地から問い合わせが入り始めたのです。インターネットの威力です。
以来、新しいお客さんの数はそれほど変わりませんが、リピーターで来てくれる人の数は増えていきました。別な友達を連れて1シーズンに2回も来てくれたありがたいお客さんもできました。これまで、会社勤めの人、学生さん、友達同士の主婦、とさまざまな人が来ましたが、ここ数年は年配のお客さんがぐっと増え、若い人が減ってきたのは、日本の社会事情を反映してのことでしょうか。訪れるお客さんの目的はコッツウォルズ観光がほとんどなので、男性よりも女性のほうが圧倒的に多いのは当然かもしれません。
 sep 2017 010.JPGB&B、ベッドと朝食付きの宿で始めたのですが、いつの頃からか夕食も頼まれるようになりました。イギリスは外食が高く、また、レストランに入っても何を注文していいかわからない、と言う人に、私の料理でよかったら夕食をお出ししましょうか、と尋ねると、ほっとしたように、「お願いします」と云われたのがきっかけです。とは言っても、自分の作った料理にお金を払ってもらう、ことに最初の頃は随分と緊張したものです。地元のスーパーで手に入る食材でできる料理を、自分なりに工夫しながら何年も続けているうちにレパートリーも増えていきました。
 これから先、何年続けられるかわかりませんが、忙しくても、春先から秋までの半年間だけです。リタイア年齢は過ぎても、訪れるお客様に喜んでもらえる仕事があるというのはありがたいことだ、と素直に思えるこの頃です。

今年の4月後半、リンゴの花がびっしりと枝を埋めるように咲き、その後の5月の天候が比較的おだやかだったせいもあり、8月中旬には例年以上にたくさんの実をつけました。庭は一時、落ちたリンゴで足の踏み場もないくらいでした。3週間ほど、ほとんど毎日玄関先に籠に入れたりんごを置いて家の前を通る人に持っていってもらっています。

下の写真は、「コッツウォルド ライオン」と呼ばれるめずらしい種類の羊です。顔がなんとなくライオンに似ていますよね。 先月歩いたコースの農場で出会いました。

明日から休暇で約二ヶ月アメリカに行きます。キャンピングカーでずっと回りたかったのですが、レンタル料が高く、残念ながら二週間だけとなり、残りは後ろに2人寝られるくらいの大きさの普通車なので、キャンプ場泊が多くなりそうです。カリフォルニアを始め西部の国立公園を訪れたあとは、東海岸まで周遊の旅です。ジョンと一緒なので、観光よりも歩くほうが多いのですが、雄大なアメリカの自然を楽しんできたいと思っています。





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