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Enjoy a day out in the English Countryside

イギリスのゴミ事情

イギリスのゴミ事情

2018年11月19日

来年3月末のイギリスのEU離脱を控えて2年間続いていた離脱交渉が終り、先週の日曜日にEUのブラッセル本部でメイ首相とEU加盟国のトップが集まってEU離脱合意書にサインしました。

なんとか合意までこぎついたのですが、イギリス国会では合意内容に納得できないメンバーが多く、閣僚の何人かは辞任、現在はメイ首相が説得にやっきになっています。保守党内でもこの合意内容に反対者が多く、野党の労働党も交渉結果に厳しい姿勢です。約40年続いたEU加盟で、国境があってないような状態が続き、移民、貿易、アイルランドの南と北との国境などなど、あらゆる分野でEUと深くかかわってきたイギリスですが、離脱のメリットがあるのか、あらためて問われています。国会で了承されなければ、総選挙、二回目の国民投票もありうる、との報道です。国民にとって、離脱後に何がどう変わるのか、今のところまったく見えてきません。しばらくは、今後どうするのかを巡って国会での論争が続くようです。

さて、今回は政治ではなく、身近なゴミ事情についての話でした。今でこそ、この国でもかなり細かく家庭用ゴミが分別されるようになりましたが、19年前に私がチェルトナムに住み始めた頃は、リサイクル用の大きな箱が町の駐車場など何箇所かに置いてはありましたが、住民のゴミに対する意識はとても高いとは思えませんでした。瓶も缶もプラスチックもすべて一緒にゴミ箱に入れているのを見て、日本式のゴミ分別システムと比べて何と遅れている国かとびっくりしたものです。以前は家庭ゴミのほとんどは埋め立てでしたが、出るゴミの量の増加に埋め立て地が不足し始め、国と市が本腰をいれて(やっと)ゴミの分別が始まりました。

グリーンの大きなゴミ容器は以前から住民に支給されていましたが、それに加えて、イギリスらしいですが、庭から出るゴミ用の容器使用が始まりました。これは集合住宅に住んでいる人は使わないので、必要な家庭に有料で支給されます。庭に潅木類、リンゴの木がある我が家はもちろん必需品です。他に小さな食料(生ごみ)用の容器、リサイクル用の箱も導入されました。瓶、缶、プラスチックのボトル、新聞、ダンボール用にどの家も二つは必要です。ざっとまとめて箱に入れておくと、収集車が分けてくれます。

食料用の容器は、庭のある人は野菜ゴミ用のコンポストを置いている人もいるし、スーパーからの出来合いの食料で済ます人も多いせいか、かなり小さめサイズです。我が家も野菜類はコンポストにいれるので、使用済みのテイバッグ、少量の残飯だけなのでこのサイズで十分です。

但し、収集が週に一度なので、チキンの皮、骨等は夏の間はとりあえず収集日まで冷凍しておきます。写真はリサイクルボックス、ブルーの袋はダンボール用、リサイクルの分別がキチンとされるようになってから普通ゴミの量がぐっと減りましたが、強力な焼却炉がある日本とちがい、リサイクルされるプラスチックのボトル、トレイ以外のプラスチックの包装類はすべて普通ゴミで、埋立地行きです。

何を買っても包装はプラスチックなのでけっこうな量になります。一般ゴミの収集は二週間に一度です。市の財政緊縮で、普通ゴミの収集を4週間に一度、という案が過去にあったのですが、当然ながら住民の猛反対に会い、幸いにも実現には至りませんでした。

この国では粗大ゴミの収集はありません。古くなっても使えるものはチャリティショップへ、家具類も、最近は電機製品も引き取ってくれます。再利用できない粗大ゴミは郊外にあるリサイクル場、「ティップと呼んでます」に各自が持っていきます。広い敷地には金属類、DIYゴミなどの置き場が別々にあります。車でも運べない粗大ゴミは市に連絡して有料で引き取ってもらうのは日本と同じです。

 

やっとイギリスでも2年位前からスーパーや一般の店で商品袋が有料になりました。レジ袋、一枚5ペンス(8円)10ペンスと安いのですが、レジ袋の使用量が半減し、買い物に自前の袋を持参するのが普通になりました。

国民の環境への意識の向上もありますが、無料か有料かで買い物客の反応がこんなにも違ってくるのはちょっと皮肉です。プラスチック類は今や私達の日常生活に切り離せない便利で当たり前の存在ですが、その反面、自然への影響も深刻です。それでも、国や自治体主導のリサイクルの徹底化、個人単位での自然環境を守ろうという意識の向上次第でかなりの量が減らせるのではないかと思えます。

 

世の中、安価の衣料品や使い捨てグッズで溢れていますが、化学繊維が最終的に海に流れて微粒子となり、海の生き物の体内に溜まる、または、漁業用のネットにからまって動きが取れなくなった海鳥、体内からプラスチックの欠片が見つかった生き物など、影響は深刻です。イギリスでコンビ二と呼ぶのは、街中にある大手スーパーの小型版なので、単に買い物に便利、というだけの存在です。もちろん、日本のコンビ二のきめ細かな商品やサービスはまったくなく、レジ袋も有料です。

この日本のコンビ二、どんな小さな買い物でも、サイズにあった無料の袋に入れてくれますが、日本で売られる商品の過重包装共々、改善すべき点だと思えるのですが、どうでしょうか。

今週始めから街の大通りにクリスマスマーケットが開きました。写真を撮ったのは平日の4時頃だったので、人の姿はまばらでしたが、今日、土曜日の午後に通ったら大勢の人で賑わっていました。

ジョンが7週間のアメリカでの山歩きを終えて帰ってきました。髭づらで6キロ痩せたそうです。オレゴンの縦走路を歩いたのですが、マイナス下でのキャンプ、食料補給のため、山を降りて町まで何十キロの道をヒッチハイクで往復したそうです。静かできれいだった、と本人は言うのですが、ジョンが撮ったオレゴンの山の写真を見ながら、少しだけうらやましさも感じますが、今の私には巡礼路が丁度いいかな、というのが感想です。

(このブログを終えたのは12月1日です。)