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イギリスの総選挙

イギリスの総選挙

2024年8月1日

7月4日に総選挙があり、結果は労働党の圧勝となりました。2019年に行われた前回の選挙ではボリスジョンソン率いる保守党の大勝利だったことを考えると、この5年の間に国民の意識が大きく変わったことになります。5年前は当時の労働党の党首がリーダーとしての統率力不足で党内は混乱状態でした。保守党は女性のテレサメイ元首相の政権下で、EUとの離脱交渉がなかなか進まず、国民がいい加減うんざりしていて、新首相に代わったボリスジョンソンへの期待が大きかったことが勝利の結果に繋がったものと思われます。

今回はコロナ後に諸物価、特にガス、電気などの光熱費が2倍に迫るほど値上がり、それに続いて食料品の高騰で、国民の生活費を圧迫し、それが未だに改善されないことへの不満が保守党政権に向けられたこと。もう一つはコロナ下のロックダウン中、首相官邸内で定期的にパーティーを開いていたことが発覚。その後も保守党議員の不祥事がポロポロと出てきて、国民の信頼を大きく損なったことでしょうか。ジョンソンが辞任、次に党首に選ばれた女性のリズトラスも打ち出した経済政策がひどく、株式市場を混乱させる結果になり、43日間という史上最短の在位で辞任、その後に選ばれたのが初のインド系のリシスナクです。まじめな性格で、私にはよくやっている印象があったのですが、議員としての経験が浅く、経済よりも、もう一つの大きな問題の不法移民対応の方に力を入れ過ぎた結果、と新聞のコラムにありました。

選挙の結果は労働党は412席、保守党が121席、自由民主党が71席です。チェルトナムは昔から第三党の自由民主党が強かったのですが、前回の選挙では保守党が勝ち、当選した議員は前首相のスナクに近く、閣僚にもなったのですが、今回は議席を失い、自由民主党に戻りました。ちなみに元首相のリズトラスも落選、元閣僚の議員も何人も落選し。保守党にとっては惨憺たる結果でした。

新首相になったキアスタマ―(Keir Stamer)は元法廷弁護士で、統率力があり、バランスのとれた印象で、サー(Sir)の称号も保持しています。出身はエリート階級ではなく、女性の副党首も北部訛りの話し方で、本来の労働党党員らしさが感じられます。

イギリスは日本のように選挙地盤を身内が引き継ぐという習慣はないので、選挙運動も集会を開いて自分の抱負を述べる位で、日本のような車を走らせて名前を連呼するなどの派手な運動はありません。この人に投票を、というチラシが何枚か入っていたこと、一度、ぜひ自由民主党に投票して欲しい、と運動員の男性が訪ねてきただけです。物価対策、不法移民への対応、NHS(国民健康保険)の改善など誰から見ても問題が山積みです。政党が代わったからといって、限られた予算の中で、どれだけ国民の期待に答えられるか。国民はなかり冷めた目で新政権をみているような印象です。

イギリスの政党は党同士がアメリカのようにむき出しに敵対するようなことはないようです。リシスナクが首相官邸を去る時に新首相に、また子供たちもキアスタマ―の子供に官邸に住む際のアドバイスの手紙を残していったそうです。また、毎週水曜日に国会で首相への質疑応答があり、テレビでも中継するのですが、議員同士の受け答えがジョークを交えたりして見ていておもしろいところもあります。長い歴史に培われた大人の国会運営を感じさせるところはさすがにイギリスです。

 

二週間前に南ウエールズに2泊3日でキャンプに行ってきました。久しぶりの遠出です。車で3時間半かけて南ウエールズの田舎の何もないところにある小さなキャンプ場に泊まりました。各テント場が区切られていてプライバシーがあること、サイトにピクニックテーブルがあり、焚火用の無料のマキもシャワールームの横に置いてありました。木立の中にャンピングカーが一台見えるだけで、テントは私たちだけです。作りがシンプルではありますが、トイレ、シャワー、食器洗い用のシンクの他、冷蔵庫と冷凍庫の備えもあり居心地のいいキャンプ場でした。近くの町でウエールズ産のラム肉を買ってきて静かな自然の中で、ワインをお供の食事とゆっくりと時間を過ごせたのはいい気分転換になりました。

キャンプ場近くにある入江の畔に建つお城(廃墟ですが)。広い敷地にはフットパスが通っていていい散策路でした。

 

車で30分ほど行ったところの小さな海岸です。海岸沿いに休暇用の宿が並ぶ、家族用のホリデイリゾートでした。

 

私たち用のキャンプサイトです。歳を取ってからのテント泊はちょっとつらい面もありますが、中が広いのでまあまあの居心地です。
キャンプ場の施設です。すべてオーナーの手作りだそうです。