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Enjoy a day out in the English Countryside
バレンタインデイ - イギリスの場合
日本では今年もバレンタインの日は若い女性の間で賑わったことでしょう。女性から男性に気持ちを伝えるためのチョコレートですが、イギリスではカップルがお互いの愛を確かめるためのバレンタインデイと見受けられます。商業主義はこちらでも同じで、2月14日が近づくと、お店にはカードやチョコレートがたくさん並びますが、何と言っても花束が目立ちます。スーパーの入り口近くには、特別にバレンタインデイ用の花のスタンドができますが、圧倒的に多いのが赤いバラです。
赤いバラを一本だけというのも人気らしいですが、売り場にはさまざまな花束が用意され、その華やかさに見ているだけでも胸がときめいてきます。ロマンチックな夜を過ごすのも大事らしく、この日は街のレストランはカップルの予約で一杯になります。
チェルトナムに住み始めた頃、知り合いの中国人が経営するチャイニーズレストランで、忙しいからしばらく手伝ってと頼まれ、二ヶ月ほどウエイトレスをしていたことがありました。その間にバレンタインデイがあったのですが、なかなか興味深いものでした。若いカップルだけかと思っていたら、意外にも年配のお客さんもけっこういるし、ロングドレスの女性客まで現れたときはちょっと驚きました。
お店側もテーブルにキャンドルを灯し、その横にバラの花を一本置いてロマンチックな夜を演出していました。お客はすべてカップルです。なるほど、イギリスではこうしてバレンタインデイを過ごすのかと思った次第です。もちろん、花束のプレセントは男性から女性へ、レストランでの食事も男性持ちです。お互いを思う気持ちは一方通行ではないはずですが、どうも男性が奥さんなりガールフレンドのことをいかに大事に思っているかを形で表すのがこの国のバレンタインデイのように見受けられます。イギリスの離婚率は40%を越えますが、再婚する人も多いので、若くない人たちでもロマンチックな関係にあるカップルは大勢いると察せられます。
イギリスではバレンタインデイ以外にも誕生日、母の日、結婚記念日などに花を贈ることが多いのですが、イギリスの男性はそういう意味での「マメ」さが必要のようです。男が花なんて買えるか、という日本の男性の「テレ」はないようで、たまに労働者風のおじさんが仕事帰りにいそいそと花を買っている姿を見かけると、ああ、奥さんの誕生日かな、と想像し、つい微笑んでしまいます。
暮らしの中でもう一つかかせないのがカードのやり取りです。こちらに来た頃、町が小さい割りにカード屋さん多いのにちょっと驚いたのですが、折々にカードを送る習慣があることが段々わかってきました。お店には誕生カードの他に、結婚、引越し、出産、定年、病気の見舞い、受験合格、自動車の免許合格などなど、あらゆる用途のカードが並んでいます。やはりバースデーカードが一番多いのですが、その種類の多さにも目を見張ります。妻、夫、子供はもちろん、おじいさん、おばあさん、姪に甥、はては義理の親、娘、息子宛のカードがあります。私の誕生日には、義理の娘のためのカードがジョンのお父さんから届きます。子供は学校を出たら親元を離れて自立、息子夫婦とは同居はしない等の習慣が根ついているので、一見家族関係がドライに見えますが、私にはむしろ日本より密度が濃いように思えます。もちろん、その理由はカードのやり取りだけではないのですが。 でも、普段の生活の中でちょっと記念になるようなことがあった時に、家族や親しい人から受け取るさりげないカードは嬉しいものです。
我が家のバレンタインデイはというと。。。特に何もしません。共同生活ウン十年経つと今さらと思うのは私が日本人だからでしょうか。でも、バレンタインデイの翌日15日がジョンの誕生日なので、この日にバレンタインも兼ねて、とささやかなお祝いとなります。今年はギリシャ料理のムサカ、デザートにジョンの好物のシェリートライフルにワインで50歳になったジョンの誕生日を祝いました。
上の二枚の写真はバレンタイン用の花売り場、三枚目が普段の花売り場です。