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Enjoy a day out in the English Countryside
いちご摘み
今月は6月23日に行われたEU離脱か残留かを問う国民投票の結果について一言、と考えていたのですが、仕事が忙しく、パソコンの前に座ってじっくりと文章をまとめる時間が取れなかったので、軽い話題に変えました。予想外の「離脱」の結果で、キャメロン首相が辞任して、実務家タイプのテレーザ メイ国務大臣が首相に選ばれました。カリスマ性はありませんが、保守党が政権を取ってから6年間ずっと国務大臣をこなしてきた能力のある人と見受けます。何とかうまくこの難しい時期を乗り越えていって欲しいと、だれもが思っているのではないでしょうか。今のところ日常の生活の中で離脱の影響は特に感じられません。イギリスポンドが下がり、大陸で起きたテロの影響もあり、今年はイギリス国内で夏休みを過ごす人が増えた、とニュースで報じていたくらいです。
さて、イチゴ摘みです。毎年、6月の後半か7月の前半にいちご摘みに出かけるのが恒例になっています。昔と違ってイギリスでも一年を通して輸入されたイチゴがスーパーに並んでいますが、この時期にしか食べられないイギリス国産のものは甘くて新鮮なのです。イチゴ農園はチェルトナムの郊外にもあるのですが、今風のハイテック技術のイチゴ棚で、一度行ってみたのですが、立ったまま楽に摘めるようにはなっていますが、料金も高いし、ちょっと違うね、と、結局、チェルトナムに住み始めてからずっと通っている周囲に何もない広い敷地のフルーツファームに戻りました。チェルトナムから車で30分、コッツウォルズ地方とは反対側のカントリーサイドにあり、「ソフトフルーツ」とイギリス人が呼ぶ、ベリー類の、イチゴ、黒や赤のスグリ(カラント、フランス語のカシスと同じです)、ラズベリー、グーズベリー、他にリンゴ、洋ナシが広大な敷地に植わっています。なだらかな斜面にいくつもイチゴ畑があり、少しづつ時期をずらして、約一ヶ月半くらい摘めるようになっています。農家の入り口に行くと、入れ物をくれるのでそれに摘んだイチゴを計って料金を払います。農場は丘の上に位置し、見晴らしがよく、オーナーがガーデニング好きなのでしょう、家の周囲はきれいに手入れが行き届いていて様々な花が植わっています。オープンガーデンで公開してもおかしくないくらいの見事さです。
今はあそこと指示された畑に下りていくと、きれいな列なった畝にいちごが並んでいます。一見、イチゴの赤い色が見えないのですが、ちょっと葉っぱをよけると、びっしりと実がついています。とりあえず真っ赤な実を一つ口に入れます。日本のイチゴ狩りと違って畑で食べるには無料です。というより、「有料」の規則がないので、好きなだけ食べてもいい、と解釈しています。熟れ過ぎたくらいのものがおいしいのですが、すぐに痛むので、摘むのはそれより少し若い実、白さが残っているのはジャム用、と分けて摘んでいきます。
朝の10時前と早い時間だったのですが、畑にはポツポツと人の姿も見えましたが、広い畑の中ではまばらに見えます。のんびりと、おいしそうなのを口に、キズのないきれいなものを入れ物にいれながら1時間位かけて摘んでいきます。時間がたつにつれて人の数が増えてきましたが、それでも平日の午前、お年寄りが多く、人が増えてもゆったりとした空気は変わりません。なかには大きな入れ物を5個位持って畑に向かう人もいます。ジャム用でしょうか。ジャムを作る人が減っていると聞きますが、イチゴはやはりジャムの中でも特別なのでしょう。スコーンにはイチゴのジャムが一番合います。イチゴ摘みのあとはジョンの希望でグーズベリー畑です。
私はあまりおいしいとは思わないのですが、イギリス人が好きなべりーで、砂糖を入れて煮たものにクリームをかけてデザートで食します。薄い透き通るようなグリーンの丸い実にきれいな線が入り、見た目にはとてもきれいなベリーですが、背の低い潅木には鋭いとげが一杯出ているので、摘むときは要注意です。 その日は、約5キロのイチゴ、少量のグーズベリーを抱えて帰宅しました。気候のいい時期に、広々とした畑でのイチゴ摘みは、毎年私達が楽しみにしている半日行事です。
北に位置するこの国で育つ果物は、りんご、洋ナシ、プラム、サクランボ位でごく限られています。今でこそ、スーパーにはあらゆる種類の輸入果物が並んでいますが、国産のごく限られた時期にしか食べられないベリー類にイギリス人は特別な思い入れがあるように思われます。昔は保存食としてジャム作りも盛んだったのでしょう。ウインブルドンのテニス観戦には「イチゴと生クリーム」がつきもので、毎年大量のイチゴが用意されるとのことです。イギリスのどこの地方でも、6月から7月にかけて車でカントリーサイドを通ると、フルーツファームのイチゴのマークと「Pick your own」の表示を見かけます。サイズ的には日本の国土より少し小さいのですが、山が少ない分土地を広く使える国ならではの風景です。ビニールハウスのイチゴ狩しか知らない日本人にはうらやましい環境です。
右の写真の花は通称、モックオレンジ と言い、今は主のいないジョンの実家の庭に咲いていたものです。あまりきれいだったからと、ジョンが持って帰ってきました。 いい香りがします。