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Enjoy a day out in the English Countryside
ロイヤルウエディング – 感想
イギリスは二週間前頃から急に天候が安定してきてずっと晴れの日が続いていました。気温も20度前後なので、
陽ざしは強くても暑いほどではなく、「さわやか」という表現がぴったりの天気でした。5月19日の土曜日も気持ちよく晴れ、プリンスハリーとメーガン マーケルさんのロイヤルウエディングも2人を祝福するような好天気の下で行われました。
日本でも話題になったそうですが、イギリスでは朝からテレビで結婚式の様子をずっと中継していました。式が行われたウインザーの町は2人を一目見ようと集まった人たちで埋まったそうです。私は午前中に街の商店街に買い物に行ったのですが、チェルトナムにはウインザーの熱気は伝わっていなかったようで、国旗が立ててあるわけではなし、国旗のユニオンジャック模様の服を着た人もなく、気が抜けるほど普段の変わらない街の様子でした。多分、テレビの実況中継を観ている人が多かったのではないでしょうか。私も家に戻ってから、式の後、お城から出て馬車でウインザーの町をゆっくりと走り、通りに集まった一般の人々に手を振っている様子をテレビで見たのですが、花嫁のマーケルさんのシンプルなデザインのウエディングドレスがよく似合ってとても素敵でした。
プリンスハリーが選んだ相手が、アメリカの黒人とのハーフの女優さんで、年上、両親は離婚、本人も離婚経験者、ということで話題の多い結婚でしたが、バッキンガムパレス側から特に大きな反対もなく、この結婚を認めたことは意外に受け取られたようです。王位継承者であるプリンスウイリアムだったらこうスムースにはいかなかったかもしれません。結婚式も、ゴスペルの音楽があったり、アメリカの(黒人の)牧師さんの話があったりと、伝統を重んじるイギリス王室としてはかなり柔軟に対応した様子が見受けられました。花婿のアゴヒゲも普通、軍服姿では禁止されているそうですが、ハリーが直接女王に頼んでお許しが出た、とのことです。
私がチェルトナムに暮らし始めて20年近く経ちます。去年はダイアナ妃が亡くなって20周忌だったので、ダイアナ妃に関するニュースも多かったのですが、テレビでも息子である2人のプリンスがダイアナ妃のことを語っていました。若くして母親を亡くし、お互いに支えあってきたせいか、2人の兄弟はとても仲がいいようです。優等生的なウイリアムと違って、ハリーの方は次男らしく羽目を外すことも多く、10代の頃は、未成年なのにパブでお酒を飲んで騒いだり、パーティにドイツ軍のナチの制服を着てひんしゅくを買ったりして、マイナス面の報道が多かったのですが、学校を卒業後、軍隊の士官学校に入り、卒業後はアフガニスタンの戦地にも(本人の希望で)派遣されていました。さすがに実戦にはかかわられなかったようですが。退役後は、ダイアナ妃がチャリティ活動に熱心だったせいでしょうか、ウイリアムと共に積極的にチャリティ活動にかかわっています。ハリーの方は戦地で負傷して障害者になった若い兵士のために「インヴィクタス(無敵)」という名前のチャリティを自ら起こし、身障者になった元兵士たちの社会復帰を助けています。こうした元兵士達の北極遠征に同行したり、負傷兵参加のスポーツ競技会を開催したりしています。又、テレビで、母であるダイアナ妃のことを長い間誰にも話せず、精神的に辛かったことを率直に語り、大勢の青少年が抱えているメンタルヘルスへの理解を求めるチャイティもウイリアムと一緒に始めています。
マーケルさんも慈善活動に熱心とのこと、ハリーの一目ぼれ、と婚約時のインタビューで言っていましたが、お互い共有するものもあったのでしょう。 王室のニュースに特に興味があったわけではありませんが、メディアに流れる王室関係の報道は耳に入ってきます。ダイアナ妃のお葬式で、お棺の後方を歩いていた若い王子たちの懸命に耐えているような印象が強かったので、結婚して幸せそうなハリー、3人目の子供の父親となったウイリアム、と、2人の王子たちの様子をテレビで観ながら、二人共たくましく成長したな、と何となく嬉しい気持ちになりました。これは、死後20年たった今も人気が高いダイアナ妃の忘れ形見(ちょっと表現が古いですね)である2人の王子達の成長に、多くのイギリス人が同じような感慨を持ったのではないでしょうか。 町ではまったく見なかったロイヤルウエディング グッズ、唯一見つけたのは、私達が借りている市民農園の中のグリーンハウスに飾ってあった小旗でした。
エルダーフラワーコーディール
5月は樹木の花がきれいな時期です。エルダー(日本語訳でニワトコ)は街中でもよく見かける一般的な木の一つです。この時期に花が咲きますが、近くでよく見ると、レースのように細かく、とても繊細な花です。独特な香りがあり、この花の香りの飲み物をエルダーフラワーコーディールと呼びます。
簡単に言うと、花の香りのするシロップです。細かな花をレモン汁と共に熱湯に一晩浸し、砂糖を加えるだけです。これを炭酸水で割るとさわやかな初夏の飲み物になりますが、これにジンかウオッカを足すとおしゃれなアルコールドリンクに変身します。コーディール自体はスーパーでも売っていますが、甘みが強すぎる上、どこか人工的な味がするので、自家製のほうがずっとおいしいです。
どういう訳か、ジョンが飲み物作りに熱心で、一時はワイン作りに凝っていましたが、出来上がったワインはごくまれにおいしくできたこともありましたが、ほとんどは「ウーン、イマイチ」の出来で、冬にスパイスを入れて温めてやっと飲める代物でした。
ワインはあきらめたようですが、今でも、このエルダーフラワーから作るコーディールと、秋の深まった頃に熟するサンザシの実(色と形はブルーベリーに似ています)を砂糖と共にジンに漬けたスロージンは毎年かかさず作ります。1-2年置いた方がまろやかになっておいしいのは、味は違っても日本の梅酒と同じです。
もう一つ、今の時期はジャージーロイヤル(日本ではジャージー牛のミルクで知られている島でできるジャガイモです)が店頭に出回る時でもあります。ポテトが大好きなイギリス人ですが、このジャージーロイヤルは5月から6月の時期にしか買えないので、特に楽しみにしているようです。他のタイプよりちょっと値段が高めですが、シンプルに茹でて、バターを溶かしたフライパンで軽く炒めたものを食べると、たかがジャガイモですが、おいしいのです。
イギリス産のアスパラと共に数少ないイギリスの季節を感じさせる食べ物です。