BLOG
Enjoy a day out in the English Countryside
2020年の暮れによせて
世界中がコロナに翻弄された2020年がまもなく終わります。ご存知のように9月にイギリス南部で発見された感染率が高いコロナの異変種は、アッという間に南部に拡がり、ロンドンを含めた広い地域にロックダウンに近い規制が導入されました。 それまでの規制ではクリスマス期間の5日間のみ三世帯が集まって過ごせるはずだったのが、世帯外の1人だけが玄関先のみの訪問が許されるという厳しいものに変わりました。 1人暮らしのお年寄りには酷い規制です。 最近やっとケアホームに入っている家族に、訪問時に検査を受けて結果が陰性であれば直接対面できるようになった矢先でした。 テレビのニュースで、3月以来8ヶ月ぶりに会う母娘が涙を流して抱き合っている姿は、見ている側にもジンとくるものがありました。 日本の文化では握手やハグの習慣はなく、家族同士でもそれほど感情を表に出すことはないので、家族間、親しい人とのスキンシップがイギリス人(同じ習慣を持つ国の人も)にとってどれだけ大切なことかわかりにくい面はあります。 私は今でも挨拶のハグを受ける時はつい体が硬くなります。
子供は学校を終えたら独立して家を離れ、結婚後の親との同居もありえません。 家族同士でも大人になったら独立して生活するのが普通ですが、それが家族間の関係を薄くしているということには繋がらないのです。 離れて暮らす分、年老いた親には様子見の電話を定期的にかけ、家族の誕生日にはカードやプレゼントを贈り、近くに住んでいれば一緒に食事をするなど家族への思いを形にして表現します。 クリスマスは一年で一番大きな行事なので、日本のお正月同様、バラバラに暮らしている家族が集まって過ごすのが習慣です。 日本では忙しくて何年も地方の実家には帰っていない、という人もいますが、仲が悪いならともかく、こちらではありえないように思えます。 特別な理由がない限り子供との同居はないので、日本のように成人した子供が家に引きこもって、老齢の親がその世話をする、という話は聞いたことがありません。 子供が失業したり、生活に困った場合、自分で何とかするか、国の補助を受けるのが普通です。 国によって習慣も制度も違うので、社会や家族のあり方も違ってくるのは当然ですが、親への甘えも親孝行のうち、という最近の日本の風潮はイギリスでは存在しません。
話はコロナ関係に戻ります。幸いチェルトナムのあるグロスター州には変異種のウイルスはそれほど広がっていなかったので、クリスマスの25日、一日のみ三世帯が集まることができ、私もジョンと日帰り(泊まるのは違反)でマンチェスターのお姉さん宅でクリスマスディナーを一緒にしてきました。 残念ながらその後の規制の見直しで、翌日の26日から規制が2から3に上がり、飲食店、美容室、ジムなどが閉鎖となりました。 厳しい規制の下でも生活範囲が限られた私たちの普段の暮らしにそれほどの影響はありません。 感染者の減少が見られなければ、イギリス全体が三度目のロックダウンとなる可能性もあるとのことです。
今年も、歩道が乾く間もないほど雨が多いうっとうしいイギリスの冬が続いています。 たまに晴れると郊外に歩きに行きますが、みんな考えることは同じのようで、こんな季節でも歩いている人の姿をけっこう見かけます。 ぬかるみだらけのフットパスも長靴や山靴をはいてめげずに歩いています。 さすがの私も鬱になりそうな今の状況下、希望はワクチンでしょうか。イギリスは西側の国ではいちばんにワクチンの接種を始め、年末までには100万人もの人が受ける予定だそうです。 最初にワクチンを受けたのはケアホームに入居している90歳の女性。「最初にワクチンを受けられるなんて光栄です。 しかも無料!」と素直に喜んでいました。イギリス人はワクチンに対してあまり抵抗感はないようです。 先日、調査機関によるワクチン接種についてのアンケートの結果が新聞に出ていました。成人でワクチンを希望する人は80%、70歳以上になるとなんと90%もの人が希望しているとのこと。日本と違って桁違いに多い感染者数、亡くなる人も3万人を越え、そのほとんどが高齢者です。 春以来、外出もままならず家に引きこもった生活を続けているので、ワクチンを受けて少しでも自由な日常が取り戻せれば、という思いは私にも理解できます。 ちなみに若者世代、16-29歳までは63%、副作用が恐いので受けたくない成人は10%に留まっています。 医療従事者、ケアホーム入居者、ケアワーカーが最優先で、その次は年代の高い順になります。 ジョンも私も順番がきたら受けるつもりでいます。
一年前には予想もしなかった2020年でした。 来年の春になれば暖かくなり、ワクチンも行き渡って、以前の「普通の日常」が戻ってきますように、と誰もが願っていることでしょう。 明るいニュースとしては、イギリスのEU離脱に際してのEUとの交渉が、今月末の期限ギリギリの24日に同意に至ったことです。 誰もが、もう同意はないかも、とあきらめ気味だったのでこれは朗報です。
来月1月から3月までブログをお休みします。
来年、コッツウォルドの野原のきれいな時期に日本からのお客様が戻ってこられることを祈りつつ。