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Enjoy a day out in the English Countryside
キャンピング イン 湖水地方
7月に入り週間天気予報をチェックしていたジョンが、来週の湖水地方の天気は曇りの予報でまあまあのようだから決行、と宣言しました。キャンプの話です。実は6月中に行く計画だったのですが、突然ジョンがギックリ腰になり延期になった次第です。椅子から立ち上がるのにも、ワンツースリーとやっていたので、長時間の車の運転なんかできるはずはありません。正直、私はキャンプにはあまり乗り気ではなかったのです。若い時から50代位までは山の縦走でテント泊も苦ではなかったのですが、歳を取ってくるとテントの出入りがきつくなり、ちょっと寒いと外での料理、食事もつらくなります。にもかかわらず今回のキャンプに同意したのは、コロナ明けでタダでさえ人気の湖水地方の宿の宿泊料がグンと上がり、しかも6月、7月は混雑する夏休みの前に行っておこう、と考える人も多く、手ごろなB&Bの予約がむずかしかったせいもあります。何年か前までは湖水地方で山歩きする際はユースホステルを利用していたのですが、コロナ状況下で現在はスクールハーティーしか受け入れてないとのこと。でも久しぶりの湖水地方、ジョンの大きいテントを買うからという言葉につられました。
交通量の少ない日曜日の朝、途中で二回の休憩を取りながら5時間半、高速をひたすら北上してのドライブです。予約したのはウルスウオーター湖の近くの村の農家がサイドビジネスで経営しているキャンプ場で、湖水地方で人気の高い山の一つ、ヘルヴェレンの登山口にあります。3泊分69ポンド(約1万二千円)を払うと広いキャンプ場の好きな場所にテントを設営できます。新しい4人用の大きなテントに手間取って立てるのに一時間以上もかかってしまいました。長さ4m、幅2m、高さもジョンが立てるほどです。テント内の奥の半分は寝るスペースになっていて、そこにインナーのテントを取り付け、仕切りもあります。前の部分に折り畳み式のテーブルと椅子を広げたら快適なスペースとなりました。キャンプ場の敷地には50メートル間隔で水道の蛇口があり、トイレ、シャワー、洗い場の設備も整っています。その日は夕方に近くの丘を歩き、持参のカレーとご飯で夕食を済ませました。
翌日は予報を裏切って朝から雨と強風、谷から吹いてくる突風でテントが大きく揺れます。日本の台風並みの強い風にテントの張り綱を補強はしましたが、薄いナイロン一枚の壁、それにしてもテントの揺れがひどい、とジョンは外に出て調べてみると入口に近いテントのポールが折れていました。そういえば、ジョンがテントから離れた時に、パキン、とした音が聞こえたのですが、まさか新品のポールが折れた音とは考えもしませんでした。頑丈なテープで折れた個所を何回も巻いて修理しましたが、荒れ模様の天気は夕方まで続き、突風が来るたびにジョンが両手を拡げてテントの壁(?)を支えていました。ハイキングどころではなく、一日のほとんどをテントの中で過ごすはめになりました。それでも小さなテントと比べると内部が広くて居心地がよく、突風が来るごとにジョンが両手を拡げるので、その様子がコミカルで笑いながら、嵐が収まる頃には持参の本を一冊読み終えてしまいました。この日の夕食は湖水地方名物のソーセージとオムレツ。食料はもちろん、卓上のコンロ、やかん、ティポット、それに今回は家で使っている枕まで持ってきました。好きなものを持ち込めるのはオートキャンプならではです。キャンプ場を見回すと、カップルや子供のいる家族は私たちのと似たような大きなテントで、一週間もキャンプ場に滞在するのもめずらしくないようで、いかに快適に過ごすが、それぞれ工夫している様子がうかがえます。
三日目は見事に晴れてくれました。雨の多い湖水地方ですが、イギリス人は悪天候覚悟でも訪れるのはそれほど魅力のある所なのでしょう。晴れればラッキーくらいの感覚です。私は膝の痛みで長時間は歩けないので、この日は湖の向かい側にある山を途中まで一緒に、後半は、ジョンが山の稜線コースを、私は湖に沿った低地の楽なコースを歩きました。コースを決める時にジョンは人気のヘルヴェレンに登るのかと思っていたら、人が多すぎるからと止めたそうです。特に有名な山でなくてもハイキングコースは至るところにあり、みんな思い思いに楽しんでいる印象です。
日本人観光客にとっても湖水地方は人気がありますが、訪れるところは決まっています。ウインダミアの街、ピーターラビットの故郷とその作者のベアトリスポッターの住んでいた家、詩人のワーズワースの生家などに限られています。せっかくの湖水地方、ハイキングコースは初心者からハイレベルまでいろいろあるので、歩くのが好きな人には絶対お薦めなのですが、情報が少ないせいか、日本国内で募集するハイキングのツアーもないようです。観光業者が、湖水地方は天候が安定していないからコースは作れない、という理由でもあるのでしょうか。少しでも山の中に入ると素晴らしい景色が見られるのにと思うと残念です。