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Enjoy a day out in the English Countryside
エリザベス女王逝去
今月19日にエリザベス女王の国葬がロンドンのウエストミンスター寺院で行われました。スコットランドのバルモラル城で亡くなった9月8日から毎日メディアが一日中女王に関するニュースを流していましたが、それもお葬式翌日には普段の報道に戻りました。最初に女王の死をラジオで聞いた時は、まさか、と思いました。その前日のニュースで、容態が良くない、と報じていましたが、直前に公務を行っている姿をニュースで見ていたので、ちょっと信じられない思いでした。これはイギリス国民の誰もが感じたのではないでしょうか。70年にも及んだ長い在位、ほとんど全世代の国民にとってエリザベス女王は常に存在していて当然というほどなじみ深いものでした。
世界中の国のリーダー、日本の天皇を含む王室のメンバーが出席した19日のお葬式は11時からだったのですが、BBCは朝の8時からウエストミンスター寺院の様子に始まり、ウインザー城のチャペルで埋葬前の礼拝が行われた夕方の5時までライヴで放映していました。私はずっとテレビの前に座っていたわけではありませんが、国を挙げての式にはあらためて大英帝国だったこの国の歴史が感じられました。ジョンの言葉では、王室の儀式を専門とする部署があり、もう何年も前からこの式の準備をしていたそうですが、すべてが伝統の儀式に従ってつつがなく進行したことに感心したものです。軍の兵隊がウエストミンスター寺院へ棺を運び、式後はハイドパークまで棺を守るように行進、そこから霊柩車でウインザーまで運ばれたのですが、ここでも同じような儀式が用意されていました。女王が国の軍隊の総司令官の立場にあったので、こうした式にはロイヤルファミリーの主なメンバーは軍服着用が決まりだそうです。ちなみに不祥事を起こしたアンドリュー王子、公務を放棄してアメリカに行ったハリーは軍服着用は認められなかったとのこと。式を見ていると、国中の兵隊が総出で女王のための最後のお勤めを厳粛に行っていた印象でした。連隊ごとに異なったユニフォーム姿は見栄えもよく、棺と共に行進する様は華やかでさえありました。女王に最後のお別れのために訪れた一般市民の数は4日間で25万人にも上ったそうです。国民の誰からも尊敬されていた女王の死に悲しみと共にあらためて敬意を示す人々の様子がテレビからも伝わってきました。
新しく即位したチャールズ国王は国民の間でははあまり人気がなかったのですが、これからどのように国民をまとめ、また王室を変えていくのでしょうか。女王亡き後、テレビでスピーチをするチャールズは以前に比べると威厳も備わり、キングチャールズ3世としての風格も感じられるようになりました。カミラも無事に王妃の身分が認められ、チャールズと共に王室で君臨することになります。女王の死と共に王室に関する情報が流れてきます。国王の所有する城、住居、広大な土地、下世話には女王が個人的に所有していた宝石類は誰に行くのかなど、なかなか興味深いです。お城の方は公務用のバッキンガム宮殿、女王が私邸として使っていたウインザー城、クリスマスを過ごしていたサンドリンガム、休暇用のバルモラル城があります。その裕福さは日本の皇室に比べると段違いのように見受けられます。ニュースでは女王が亡くなった時に滞在していたバルモラル城を博物館として一般公開するという話ももあるそうです。
イギリスにとってエリザベス女王の死で一つの時代が終わったといえるのかもしれません。冬に向かってあまり明るいニュースはありません。物価の高騰、特に10月から光熱費が80%値上がりし、年が明けたら再値上げもあるそうです。寒いイギリスの冬に向かってみんな戦々恐々としています。ヨーロッパほど深刻ではないですが、イギリスでも東部の干ばつがひどく、主食でもあるジャガイモの生産量が少なく、冬に向けて、イギリス人の大好きなチップスも値上がりが必須とのこと。今年は暗い冬になりそうです。