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Enjoy a day out in the English Countryside
只今一人暮らしです
9月末にジョンがまたまたアメリカに旅立ちました。Pacific Crest Trail というアメリカ西部にあり、南はメキシコ、北はカナダ国境まで砂漠と山岳地帯を通る4240キロに及ぶ長い縦走路を歩くのが目的です。今回で3回目となり、主にカナダ国境に接するワシントン州を歩く計画とのこと。何か月も前から準備をしていたのですが、とにかく背負うザックの重量を抑えたいと、持って行く装備のすべてをグラム単位で書き出していました。修理用の裁縫セットがあるか、と聞かれたので、旅行用の小さな袋に入ったものを渡したら、持って行ったのは一本の針と1-2メートルの黒糸のみという徹底ぶりです。最近のアメリカのトレッキングの主流は、いかに軽量の装備で歩くか、だそうです。私が若い頃東京で登山をしていた頃に比べると、装備の軽量化は信じられないほど進化しているようです。当初の計画である二カ月を2週間短縮したので、今回その日数で残りのコースを完了できるのか、と聞いたら、多分もう一回かかりそう、との返事。終わるのが惜しくてわざと伸ばしているのではないかと勘繰りたくなります。縦走中、食料調達ために時々山を下りるので、その時にWiFiにアクセス出来ればメールが入ります。今回はスカイプで話もしているので、ジョンの様子も画面から伝わってきます。予想よりも歩きにくいタフなコースで、持っていったまだ新しい山靴がダメになりそうで、買い替えなければ、と愚痴も出ましたが、まあまあ元気そうでした
私はというと、自由な一人暮らしを楽しんでいます。一人になって、ジョンのペースに合わせて暮らしていることに気がつきます。一人で特に不便なこともなく、ジョンが食べない和食や魚料理を作ったりしています。戸締りだけはきちんとするようにと言われているので、毎晩寝る前には必ず三つあるドアの鍵をかけたか確認しています。最近、鍵をかけたつもり、電気を消したつもり、でも後でアレッということも間々あるので、普段は用心深いジョンに任せています。グリーンハウスの野菜の水やり、庭に来る野鳥のエサやりなどの指示のほか、諸々の支払いや家の中の電球が切れそうでないかチェック等々、自分が不在の間、私が困らないようにして出かけたので、今のところ問題なく生活が出来ています。
先週はお隣のご夫婦が、一人で寂しいでしょうと、”ドリンク”に招待してくれました。ご主人のトムは声が低く早口でしゃべるので、なかなか聞き取りにくく、あまり嬉しいお誘いではなかったのですが、断る理由もないので招待を受けた次第です。夜の8時、ワインとポテトチップなどの乾き物のおつまみで迎えてくれました。日本だったら、いかにカジュアルに人を呼んでも、主婦はおつまみ位は自分で手をかけたものを出すと思うのですが、イギリス人はそんな気使いはしないようです。雑談の途中から話題が夫妻の好きなクルーズになりました。過去に出かけた船旅の話を楽しそうに語る二人に合いの手を入れながら聞いているうちに時間が過ぎていきました。コロナとトムの体調不良のせいでクルーズにも行けず、ずっと家に閉じこもった生活を続けていたのを気の毒に思っていましたが、先月、3年ぶりに往復ともタクシー利用で一週間南部の海岸に休暇で出かけたそうです。コロナ前までにクルーズに出かけた回数は13回にも上るそうで、楽しいから機会があったら是非一度乗ってみたら、と勧められました。帰りがけに、応接間の素敵なアンティックの椅子が目についたので、聞いたら、奥さんのおばあさんの時代のもので、二年前に張り替えたら新品のようになったそうです。お隣に招待されて家に戻って来る度に、我が家の実用的なだけのインテリアにお隣さんとの生活の違いを実感させられます。
話題は変わりますが、今月30日は私たちの30年目の結婚記念日です。知り合ってからだと38年にもなります。ひと回り以上違う歳の差、習慣も文化も違う国の差を乗り越えての今、なんて言い方はふさわしくない気がします。結婚の形は私がイギリスに住むための便宜上のものに近かったので、市役所に婚姻届けを出しただけで、結婚式もない、ジョンの家族にさえ事前報告はしませんでした。ジョンのお母さんは一年位たった頃に何となく知ったようですが、特に何も言われませんでした。結婚当初は生活習慣の違いから言い合いはありましたが、何年かたつうちにはそれもなくなりました。特に波風もたたずに二人の生活が続いたのは、基本的な価値観が似ていたこと、そして、山歩き、旅が好きという共通点があったことが大きかったかな、と思えます。なるべくお互いをしばらず、相手のやりたいことを認めることでうまくいっているような気がします。大病はしないものの、しょっちゅうどこが痛いとかでクリニック通いをしているジョン、相応に年を重ねて無理がきかなくなった自分、とこれからはお互いの体をいたわり合いながら生活を続けていくことになりそうです。
す。