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ジョンの山旅ーカリフォルニア

ジョンの山旅ーカリフォルニア

2024年12月1日

10月15日に予定通り、ジョンがカリフォルニアの山歩きから帰ってきました。ひげづらで、飛行機の長旅で疲れているようでしたが、自分のやりたいことをしてきたせいか元気です。ジョンがメキシコ国境からカナダ国境まで続く4千キロにも及ぶパシフィッククレストトレイルを歩き始めたのはもう10年以上前になります。今回で4回目。全山域を歩き通したと思うのですが、どうも雄大なシェラネバダ山脈に魅せられたようで、好きな山域を選んでの6週間だったようです。今回も持っていく物すべてをグラム単位で計り、できる限り軽くしたザックと共に出かけました。

PCTが有名なもう一つのトレイル、ジョンミュアトレイルと合流する地点にある湖。

10月初旬はカナダ国境から6-7月に始める全行程を歩き通すスルーハイカーたちが、標高2-3千メートル級の山域を雪が降り始める前に終わらせる時期なので、最初の2週間ほどは南に下ってくるハイカー達とよく出会ったようですが、下旬頃からはバッタリ登山者の姿は途絶えたそうです。LAに着いた頃は10月だというのに、街中の気温は38-40度と記録的な暑さで、山に入るまでは辛かったようです。冬山装備だったので、北からの軽量で歩くハイカーたちに奇異の目で見られたとのこと。その頃は山の中でも寒くはなく、地面にテントなしで寝る、いわゆるカウボーイキャンプができて、夜中に目が覚めて上を見上げると、満天の星や流れ星、天の川に感激したと嬉しそうに話すのを、山中でのワイルドキャンプから遠のいてかなり年数が経つ私は、羨ましい思いで聞いていました。

カウボーイキャンプ、イギリスでは夏でも朝方は寒いし、じっとりと露で濡れるのでできないものです。

5-7日分の食料、時には水場のない地域もあるので水も何日か分も運ぶこともあり、食料調達のために標高の高い山を下りる時は一日がかり。下山したらヒッチハイクで最寄りの町に、と山好きの私でさえうんざりするような行程です。山での食事は、朝はシリアルバーとコーヒー、日中の行動食はトレイルミックスと呼ぶ、ナッツ、ドライフルーツなどスナック類を混ぜたもの、夕食も軽量化で、インスタント麺かジップロックの中に味のついたクスクスやパスタに熱湯を注ぎ、しばらく置いてから直接袋から食べる、とまともな食事には程遠いもの。装備を背負って冬山を歩く際は一日5千カロリー必要とのことなので、常に空腹状態だったのではと想像します。どうも山を下りた時は飢餓状態?に近かったようで、2L入りのミ牛乳をいっきに飲み、バナナ、ビッグマックのハンバーガーと手当たり次第食べたそうです。時には安く泊まれるキッチン付きのホステルで自炊。一ダース入りの卵を買い、8個を使って野菜と合わせてオムレツを、翌朝に残りの4個でスクランブルエッグを作ったとのこと、普段の生活では考えられない食事内容です。コインランドリーに行き、食料の買い出しをして、1-2日町で過ごして、下山時と同じ方法で山に戻るのを繰り返す一ヶ月半でした。今回は山を下りた時に電話やスカイプで連絡が取れたし、前回のワシントン州と違って、雪も少なかったので、それほど心配することはありませんでした。

ジョンの山でのクスクスの夕食。ジップロックは二枚あり、外側のものは熱が逃げない様になっています。

今回のアメリカの山歩きの話を聞いて、そんな大変な思いをする山に本当に行く価値があるのか、と聞いたら、きっぱりと「ある」と答えます。どんなに寒くてもそれなりの準備をすればいいだけと言います。静かな山の素晴らしい景色の中を歩くのは、撮ってきた写真を眺めるだけでは伝えられない魅力があるのでしょう。6キロの減量を達成して帰り、髪を切り、伸びたひげを剃って日常の生活に戻りました。好物のケーキを作って迎えたのですが、そのケーキ、アッと言う間になくなりました。

帰宅するジョンのために作った「パーキン」というケーキです。 ショウガ風味でオーツ麦と水あめが入った硬くどっしりとして、イギリスの寒い時期に食べるものです。日本のフワフワと柔らかいスポンジケーキとは対極かもしれません。

 

ジョンが泊まったホステルの庭に干してあったカナビス(マリファナ)です。カリフォルニア州で使用するのは合法とのこと。