イギリスは安全か

17 September 2015


ちょっと大げさなタイトルですが、ステインクロスに訪れるお客様に時々、イギリスは旅行するのに安全な国ですか、と聞かれます。他のヨーロッパの観光大国、フランス、イタリア、スペインに比べると、比較的安全な国と思われます。大都市のロンドンでもスリや置き引きの被害の数は他のヨーロッパの都市に比べると少ないですし、ロンドン以外でその類の被害にあったと話はあまり耳にしません。但し住民としてこの国に住んでいると、自宅の防犯に対する心構えが日本に比べるとずっと高いことに気がつきます。 ようするに泥棒が多いのです。 近所の人からもこの地域でも空き巣狙いが増えたから気をつけたほうがいい、と言われたことがあります。我が家でもジョンが普段から寝る前の戸締りは必ずチェックするし、2人で旅行に行く時は、通りに面している窓のカーテンは半開きにして、電気スタンドをテーブルの上の置き、タイマーで夜になると電気がつくようにセットしてから出かけます。日本の泥棒は現金や宝石類など貴重品しか取っていかないと聞きますが、こちらはお金になりそうなものはすべて、テレビ、パソコン、携帯などもよく盗まれる対象です。ジョンが育ったマンチェスター(この町に限らないと思いますが)では、留守だとはっきりわかってしまうと、プロの泥棒集団が堂々とバンを乗り付けて家の中のめぼしいものをすべて運び出してしまうことも実際にあるそうです。庭仕事用の道具や芝刈り機なども庭に置いておくと盗まれてしまう可能性があるので使い終わったら片付けます。私達が借りている市営農園も外部の人に荒らされたことがあるとかで、ゲートは常に鍵はかかり、それぞれの区画についている小屋も帰る時は鍵をかけていきます。とにかく盗まれて欲しくないものは外部の人の目に触れないようにするのが鉄則です。 ジョンが初めて日本に行った時、駅前にぎっしり並んでいる自転車を見て、イギリスではありえない、と目を丸くしていました。 盗みの被害が多いということは、盗品を扱うブラックマーケットが存在するからするからです。
イギリスにはどの町にも安い家賃で入居できる市営住宅のエーリアがあるのですが、主に低所得者、失業者、生活保護を受けている人達が住んでいるので、あまり治安がよくないと言われています。チェルトナムにも何箇所かあり、あの辺は夜はあまり近づかない方がいい、という話も聞いたことがあります。 プロの泥棒以外にも、そういった地域に住む人、特に若い男の子が遊ぶためのお金やドラッグを買うために、機会さえあれば盗みを働くケースが多いそうです。 現実に私にも怖い経験があります。 何年か前、ジョンが留守の冬の日曜日の午後でした。パソコンに向かっていた時にドアのベルが鳴ったのですが、特に来る予定の人もなかったし、宗教の勧誘などもあるので、ほっておいたのです。すると数分後、ドーンドーンと音がするので、台所に行ってみると、窓の外に男の姿がありました。ガレージの屋根に乗って窓を壊そうとしていたようです。留守だと思っていたのに私が現れたのでびっくりはしたようですが、逃げる時もあわてる様子はみられませんでした。 私の方が、もしかしていまの泥棒? としばらくは怖くてドキドキしていました。我が家のガレージは教会の横の道からは丸見えなので、人や車が来たらすぐに何をしているかわかってしまうでしょうに。 幸い、窓は二重で頑丈にできていたので壊されずにすみましたが、あまりにも大胆というか、無茶というか、帰ってきたジョンに話をすると、きっと頭がおかしいんだ、とさすがにびっくりしていました。 それ以来、休日に2人で出かける日は、ジョンは庭の洗濯物用のひもに何枚か服を掛けていきます。 泥棒が多い現状を見越してでしょうか、以前この家の持ち主だったおじいさんはとても用心深くて、玄関のドアの鍵はチェーンを入れて5個もありました。(私達が使っているのは二つだけですが) 地下の部屋は上部は地上に出ていて窓がついているのですが、二つ共しっかりと鉄の棒が通っています。庭に面した部屋のドアにも二つ鍵がありますが、それでも安心できなかったのでしょうか、写真にあるように取り外しのできるがっちりしたメタル製のバーがついています。008.JPG
家がこれほどきっちりと防備されていると、外出の際に玄関の鍵を忘れると大変なことになります。家に入る手立てがまったくないのです。 一度、ジョンが留守の日にやってしまいました。バタンと玄関のドアを閉めた途端、あっ、いけない、鍵がない、と気がついたのですが遅すぎました。鍵なしでは絶対に家の中に入れません。どうしようかとしばらくは呆然として玄関の前の階段に座り込んでいましたが、気を取り直して友達に電話をし、市内に鍵屋さんがあることを聞き、連絡して来てもらいました。角が直角に曲がっている下敷きみたいなもので2,3秒、あっという間に鍵が開きました。料金は40ポンド(約8千円)、いい勉強をしました。このことはジョンには報告しなかったのですが、それとなく、万が一のため玄関の鍵を1セット庭に隠しておくことを提案、用心深い彼は、それもそうだと、今は庭の石の下にスペアの鍵を置いています。イギリスでは「Englishman's home is his castle」という表現があります。社会の中で法律とか決まりごとがあり、それに従わなければなりませんが、自分の家では好きなように過ごせる、という意味だそうですが、別な意味で、私は鍵で守られた堅固な「城」ではないかと思っています。この家を買った際、前の持ち主からずっしりと重い鍵の束を渡されました。ガレージのドアの鍵、トイレの窓の鍵などなど。イギリスで安全に暮らすためにはいかに家の戸締りが大事かは、住んでみないとわからないものです。長く日本で実家暮らしをしていて、家の戸締りには特に気を使った記憶はありません。そんなぼんやりした私には任せられないのでしょう、鍵の管理はすべてジョンがしています。

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先週の日曜日、車でコッツウォルドに出かけました。毎年、9月の中旬になると、時間をみつけてプラム狩りに出かけるのが恒例となっています。目指すはチェルトナム近郊にある広い果樹園。といっても敷地内で採るわけではなく、果樹園に隣り合わせにある牧草地側のダムゾンプラムの木が目当てです。今年は時間に余裕があったので、まずは運動不足解消と、周辺のフットパスを二時間ほど歩きました。麦畑は刈り入れが済み、道の脇の花の数も減って、ちょっとさびしい秋のカントリーサイドです。果樹園に戻り、敷地を横切っているフットパスを歩くと、洋ナシ、りんご、プラムがたわわに実をつけていました。少数のローカルの人しか知らないフットパスのせいもありますが、私が知る限り果樹園に植わっている樹の実を採るような不届き者は見たことがありません。ハイカーは果樹園の敷地内を歩かせてもらっている、という意識が強いのでしょう。ダムゾンの収穫はといえば今年は豊作で、こくのあるダムゾンジャムがどっさりできました。豊作といえば、庭のリンゴも今年は大豊作。ディスカバリーという種類の背の低いリンゴの木が庭の真ん中にあるのですが、実の皮が真っ赤になるので、しばらくは観賞用にそのままにしておきます。 リンゴの皮が赤いのはめずらしくありませんが、このタイプは果肉もピンク色になり、味もど。熟したものを採って一週間も置くと実が柔らかくなるので、お店に置くには向かないのでしょう。近在の農家が集まるファーマーズマーケットでたまに見かけるぐらいです。 今年はこのリンゴでジャムを作ってみたらきれいなピンク色に仕上がりました。 写真のブドウに似た濃い紫色の実がダムゾン、一番下の写真が赤いリンゴです。

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