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Enjoy a day out in the English Countryside

紅茶の話

紅茶の話

2015年7月1日

仕事が忙しいと時間がアッという間にたっていきます。6月はイギリス観光の最適な月です。天気も比較的(あくまでも他の時期と比較してですが)安定、日も長く夜は暗くなるのは9時半頃です。周辺は暗くなっても西の空は11時頃まで明るさが残っていて、晴れていればきれいなトワイライト色になります。そして、なによりガーデンの花がきれいな時期、というのが6月にイギリスを訪れる人が多い理由なのでしょう。先日もガーデニングが趣味で、庭には何十本ものバラを植えてます、というお客様が、個人の庭のオープンガーデンの見学を希望、チッピングカムデン周辺の個人の庭をジョンの案内で何軒か訪れました。
お客様が続く6月を何とかこなしたのですが、7月に入ってもブログを書く余裕がなく、気がついてみればもう中旬です。10日間ほど予約がないので、この間が私達の休養期間です。

ゆっくりとお茶を飲む時間もできたので、今回は紅茶について書いてみたいと思います。イギリスといえば紅茶ですが、西ヨーロッパの国で国民の飲み物として紅茶を飲んでいるのは、イギリスと同じ文化圏のアイルランド位です。南ヨーロッパはもちろんコーヒー、北欧もベネルックス3国もドイツもみんなコーヒーで、紅茶派はごく少数です。お茶の産地であるインド、セイロンを植民地とした歴史と、イギリスの水が紅茶に合っていたのが紅茶の発展の理由かもしれません。 ジョンと休暇で大陸の方へ旅行に行く時は必ずティバッグ持参なのですが、スペインでもフランスでも、現地の水を沸かして淹れる紅茶はどこか味が違うのです。場所によっては淹れた紅茶の表面に薄く幕が張ったりします。やはり水質の違いなのでしょうね。

 

イギリスではさすがに実にさまざまな種類の紅茶を売っていますが、一般の人が普段飲んでいるのは安いティーバッグです。それも、ポットに入れてカバーをしてしばらく待つという人は少なく、大体はマグカップにティバッグをポンといれ、熱湯をそそぎ、ミルクを加えスプーンでかき回してティバッグを取り出して飲む入れ方です。水が硬質でミルクもお茶に合っていてそれなりにおいしいでしょうが、そんな入れ方では紅茶の風味がでないのでは、とつい思ってしまいます。働いている人にとって忙しい生活の中で、それほどこだわりを持ってお茶を入れる時間はないのでしょうか。お茶の味にそれほどのこだわりがないのかもしれません。ホームステイをしていた人から聞いたことですが、おばあさんのホストマザーが、パウダー状のミルクも入っているインスタントのお茶を飲んでいたそうです。私の周囲にはさすがにそんな人はいないのですが、スーパーに行くと、売っているのです、「インスタントティ」と称するものが。この国に住む外国人としては、イギリスにそんなお茶を飲んでいる人がいるなんて、とちょっと悲しくなります。

009.JPG時々、日本の緑茶を飲むこともありますが、紅茶なしでは生活が成り立たないイギリス人のジョンと生活をしていると、日常の飲み物はどうしても紅茶中心になります。ジョンが一日家にいる日は最低6-7回はお茶を飲んでいる計算になります。朝、昼、晩の食事時に、午前と午後のお茶に、それ以外にも外出先から戻ると、何はともあれ a cup of tea です。普通、イギリス人にとってのお茶とはミルクティをさします。それほど淹れ方にこだわらなくても、「煮立った湯を使う」、「ミルクは冷たいものを」、「ポットで入れしばらく置く」という基本的なことを守れば、おいしいお茶になります。イギリスには日本式のお湯を入れておくポットは存在しません。お茶を飲む毎にエレクトリックケトル(電気やかん)でお湯を沸かします。日本のやかんと違ってお湯が沸く時間がずっと短いのが特徴です。”Put the kettle on” がお茶を淹れる代名詞です。我が家ではお客様に出す分もいれるとティバッグを使う量も半端ではなく、PG,Titley, Yorkshire tea といった一般的なブランドのお茶にアールグレイなどを混ぜて使っています。私が今、気に入っているのは Chaiというスパイスが入ったもので、これに普通のブレンドを加えた二つのティバッグを使ったものです。

一時チェルトナムの街は、ティルームがほとんど姿を消し、チェーンのカフェだらけ、の様相でしたが、最近はまたお茶とケーキを出すティルーム系のお店がオープンしてきたのは喜ばしいことです。
写真は愛用のポットと手作りのポットカバー(英語で Tea Cozy と呼びます)です。カバーをかぶせると30分くらいは熱いままです。ちなみに硬質の水のせいか、ポットにいれたお茶は長く置いても、濃くはなっても苦くはなりません。紅茶はイギリス人に人気の ヨークシャーティ で普通のティバッグよりも濃く出ます。50%増量の240個入りのパックで、日本円で約千円です。

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ティイコールお茶の意味ですが、イギリスでは、単に TEA と言うと夕食の意味にも使います。元々、北部の表現だそうですが。 昔、イギリスの小さな町で英語のコースを取っていた時に、そんな習慣を知らなかった私は、イギリス人から 夕方の6時に Tea の招待を受けて、こんな時間にお茶かな、と悩んだものです。その家庭に行ってみて初めて、ティ が夕食と理解した次第でした。それから気をつけていると、Tea が夕食を表す言葉で、かなり一般的に使われているとわかってきました。お茶だけの時は A cup of tea なんですね。

もう一つイギリスで食事の呼び名でいまだにはっきりとわからないことがあります。 朝食は Breakfast、 昼食は Lunch 夕食は Dinner と習ってきましたが、イギリスに来て、昼食もディナー と呼ぶことがあるということです。 そういえば 学校で出る給食を スクールディナー と言います。イギリス人に聞いてみると、ランチ時でも、ちゃんと料理をした食事の場合はディナーと呼び、そんな日の夕食はサパー(簡単な夕食?)と呼ぶのだそうです。 チェルトナムに引っ越して来て間もない頃、近くのスーパーでパートで何週間か働いたことがあります。お昼時、他のスタッフと社員食堂で食べている時、1人が、今日の夕食はチーズとクラッカーでいいわ、と言うのを聞いてびっくりした記憶があります。社員食堂で食べたものが ディナー だったわけです。暖かい料理した食事は一日に一回で十分、あとの一回は簡単なもので済ませる、のが一般の人たちの考え方のようです。朝、昼、晩と3食火を通したものを食べることも多い日本人にとってちょっと理解しにくいことではあります。