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Enjoy a day out in the English Countryside

スペイン巡礼の旅・リオ オリンピック

スペイン巡礼の旅・リオ オリンピック

2016年9月3日

今年のステインクロスの営業は8月31日で終了させて頂きました。理由は、私がスペインの巡礼路を歩くためです。普段はシーズンオフに入る10月後半に私達の休暇を取るのですが、巡礼路を歩き通すには約40日かかるので、思い切って9月から始めることにしました。このサンチャゴ デ コンポステーラまでの巡礼路は、最近日本でもBSなどで紹介されたそうなので、ご存知の人も多いかと思います。日本人の巡礼者も増えていて、歩いた人たちが中心の友の会もあるとのこと。私が巡礼の旅を決めたのは、歳を重ねていく自分の体力、精神力を試す気持ちからです。50代の頃まではリュックサックを背負ってジョンと山の縦走、キャンプもいとわなかったのですが、最近はそんな機会もなく、体力もかなり落ちていると自覚しています。千年も前から巡礼者がサンチャゴ デ コンポステーラを目指して歩いている巡礼路、カミーノはかっこうのチャレンジの機会と思ったのです。カミーノ沿いには巡礼者用の宿もあり、巡礼路にはほたて貝の道標もあり、一人でもなんとか歩けそうです。人が多く誰でも歩けるコースにはまったく魅力を感じないジョンは、それでも私に付き合って最初の5日間だけ一緒に歩くことになりました。

march 2016 001.JPGmarch 2016 002.JPGmarch 2016 003.JPG8月末に最後のお客様を見送って、やっと巡礼路の旅が現実なものとなってきました。何年か前に1人でアメリカ西部の縦走をしたジョンはそれ以来、山道具の超軽量化に興味を持ち、インターネットを通して装備を収集し始めました。もう若くないんだから少しはちゃんとした服を着ないとみすぼらしく見える、との私の言葉を無視して、新しく買うのは山用のものばかり、普段の服装にはまったく頓着しません。私が巡礼路を歩くと宣言すると、装備は自分が揃えるからまかせて、と張り切って、自慢の「超軽量」のリュックサック、寝袋、ヘッドランプなどを揃えてくれているので、ありがたく使わせてもらうつもりです。それでも必要な小物類は自分で商店街のアウトドアショップ巡りをして買出しをしています。そこであらためて気がついたのです。人口11万人の小さな町に、全部チェーン店ではありますが、アウトドア専門店が4店、他に一般のスポーツ用品の大きな店が二つもあるのです。住民以外に近郊から買い物に来る人の数を考慮してもそんなに需要があるのか、と首をかしげてしまいます。日本だったらせいぜい一軒あればいいほうでしょうか。 これほどの数のアウトドアの店がつぶれもせず存在しているのはどうしてか。

 

日本に比べると、余暇に費やせる時間が長いこと、大都市以外の町には公園、フットパス、誰でも自由に使えるコモンと呼ぶ広い丘などのアウトドア用の空間がたくさんあることが理由かもしれません。そして、有給休暇はすべて消化するので、休暇で出かける人も多いのです。特に夏は、国内、海外にかかわらず、最低でも一週間の休暇を取るので、独身者も家族持ちの人も海に、山に、野外活動(?)の機会が多いのでは、と考えたのですが。ジョンの意見は、チェルトナム近辺は比較的富裕層が多く、アウトドア志向も高く、買い物にも金銭的余裕があるせいかもしれない、とのことです。

何はともあれ、昔から巡礼者が歩き続けているカミーノ(道)を歩き通したら、信仰心はなくても、なにか感じるものがあるのでは、との微かな期待もあります。
この夏、イギリスで大きな話題になったのは、リオのオリンピックでのイギリス人選手の活躍ぶりです。メダル獲得数ではイギリスは中国を抜いて二位になりました。これまでのオリンピックでは最高の成績とのことです。私がイギリスに住み始めてから何年かたった頃にシドニーオリンピックがあったのですが、今一つ国民の盛り上がりがなく、サッカーのワールドカップ開催時の熱狂は伝わってきませんでした。

 

それが4年前のロンドンオリンピックを境に変わってきたのです。自国でのオリンピックということで、開催中に各種スポーツが身近に感じられるようになり、イギリス選手の活躍も目を瞠るものがあり、国中がオリンピック一色になったようでした。アトランタでは金メダル一個という結果だったそうなので、ロンドンの金メダル獲得数35個は大躍進です。自国開催の後のオリンピックは普通メダル数が減るものだそうですが、リオではロンドンを上回り、金メダルは37個でした。 大躍進の大きな理由としては、1990年代に国が始めた宝くじの収益金が、慈善、文化活動の他、スポーツ振興にも使われ、その効果が最近になって出てきたからだそうです。成績のいいスポーツ選手が現れると、個人にもそのスポーツの団体にも補助金が出て、選手が練習に集中できるようになったのです。今回のリオではイギリス選手がメダルを取るごとに、日本人の私がヘキヘキするほど、テレビで繰り返しメダリストの活躍を紹介していました。

Team GB(イギリス選手団)の活躍をテレビで観て、水泳、体操、テニス教室等への入会が増えた、とテレビで報道していました。イギリスの公立の学校にはスポーツのクラブ活動がないので、子供がスポーツを始めたい時は地域のスポーツクラブに入会することになります。クラブの運営は、周囲の大人がボランティアで手伝うことも多いので、子供の金銭的な負担は少ないそうです。子供の肥満(大人もですが)が大きな社会問題になっているので、イギリス人選手の活躍が子供達にいい刺激になり、もっとたくさんの子供達がスポーツを始めることになれば肥満解消につながるかもね、とジョンに言ったら、イギリス人の肥満問題はそんな簡単にはなくならない、と一蹴されてしまいました。

今月は記事に関連した写真はありませんので、コッツウォルズのケルムスコットの村にあるウイリアムモリスが住んでいた家の写真をご紹介します。この村は交通の便が悪く、館も一週間に二日しかオープンしていないので訪れにくいのですが、とても雰囲気のあるところです。