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Enjoy a day out in the English Countryside

Cleeve Hill Common

Cleeve Hill Common

2021年3月16日
クリーヴヒルの近く、手前の標識は縦走路 「Cotswold Way」のためのものです。

イギリスは今もロックダウンが続いています。去年の3月後半に一回目のロックダウンが始まって以来、規制の差こそありますがほぼ一年のもの間、国民は不自由な生活を強いられています。二月の後半辺りからロックダウンの効果とワクチン接種が進んでようやく感染者、死亡者の数が減り、二週間前に政府の規制緩和への計画(Roadmap for ending restrictions)が発表になりました。今月8日から学校が、4月17日に一般の店が再開、と徐々に緩和されていますが、すべての規制が解除されるのは6月21日とまだまだ先のことです。 この日程もこれからの感染状況のデータ次第で変わる可能性があるとのこと。 政府はもうロックダウンには戻れない、と解除には慎重です。 ワクチン接種の方は順調で、すでに二千五百万もの人(成人人口の半分に当たります)が受け、私も二月中旬にファイザーのワクチンを受け、ジョンも来週中に受ける予定です。

 

丘からの眺めです。 ベンチは故人が好きだった場所に家族が寄付したもので、見晴らしのよい場所によく見かけます。

 

クリーヴヒルに放牧された牛たち。

店はスーパーとドラッグストアのみオープン、仕事等よほどの事情がない限り地元から離れてはいけないという厳しい生活環境下、許されているのは健康維持のための運動だけ、市内の公園と郊外の丘までが地元として許される範囲です。イギリスの冬はじっとりと寒く雨が多い鬱陶しい天気が多いのですが、たまにきれいに晴れる日もあります。そんな日は市内の公園も丘も大勢の人でにぎわいます。 チェルトナム近郊には二つの丘があり、住民に親しまれていますが、両方とも正式には「Common」と呼びます。 日本人には聞きなれない言葉ですが、この場合のコモンの意味は「共有地」です。 私も細かいことはあまり知らなかったので調べてみたら、何百年も前から存在していて、イギリス全土には7千ものコモンがあるそうです。 サイズ的に一番大きいのものはロンドン北部にあるハムステッドヒース、二番目はウインブルドンとありました。 市街地にあれば公園との差はあまりないのでしょうが、元々は誰もが自由に利用できる広い空間です。 クリーヴヒルはコッツウォルズでは一番標高が高く、といっても330メートルですが、丘の上にはゴルフ場があり、近在の農家が羊、牛を放牧、一般の人は犬の散歩、ハイキング、マウンテンバイク、乗馬、凧あげなどを楽しむ市民の憩いの場になっています。 コモンの所有、管理は各自治体かナショナルトラストですが、私有地もあるそうです。 イギリスの国土は日本より少し狭いのですが、人口は日本の約半分、平地が多いのでこうした余裕のある土地の使い方ができるのでしょうか。 郊外に出ると網の目のように存在するフットパスは私有地を通ることも多く、歩く人の権利が認められています。 国民のためのこうした「ゆとり」にこの国の成熟さを感じます。

私たちはコロナ騒動以前は、ハイキングにはコッツウォルズに点在する村を中心としたコースを歩いていたので、近郊の丘は主にエクササイズのためで、一時間程度同じコースをサッと歩いてくるだけでした。それがロックダウンで地元から出られなくなり、週に一回くらいのペースでどちらかの丘を歩くようになりました。特にクリーヴヒルは広いので、回を重ねることに別な駐車場を利用したりして、今まで行ったことのない方角にも足を延ばすようになりました。 結果、私有地との境界線を歩いたりしているうちに、この丘のよさを再認識することになったのです。市内から眺めると普通の丘ですが、上に登るととにかく広く、見渡す限り野原です。 風が強いと吹きっさらしで寒く、天気が悪いと空が広い分灰色の雲が迫ってくるようであまり楽しくないのですが、逆に天気のいい時はさえぎるものがない真っ青な空に、おもわず吸い込まれるような気持になります。

先週は久しぶりに朝から青空の日があったので、さっそく出かけてきました。 早めに家を出ないと駐車場がすぐに一杯になります。 丘の上にはひばりが何羽も鳴きながら空に向かって上がっていくのが見えます。 まだ巣作りには時期が早いのでテレトリーを守るための鳴き声のようです。 丘近くの農場では早くも羊の出産が始まり、生まれて間もない子羊たちのかわいい姿がありました。 長いロックダウン生活、単調な日々が続く中、この「丘歩き」がいい気分転換になっています。

生まれてまだ一週間くらいの子羊。 普通は人が近づくとすぐに逃げてしまうのですが、今回はうまくカメラに納まってくれました。

ワクチン接種が高齢者以外にも広がり、先日ニュースでワクチンを受けた人たちが、主に医療関係やキイワーカーの職場ですが、嬉しくて踊ったりお祝いしたりしている様子を映していました。 誰もが早く普通の生活に戻り、パブに行ったり、友達に会ったり、太陽あふれる国にホリデイに出かけたいのです。 ワクチンの導入で長いトンネルの先に希望が見えた、そんな感じでしょうか。 でも、今現在は、ワクチンの効果が低いらしい南アフリカとブラジルのコロナ異変種が広がるのを防ぐため、出国、入国に厳しい制限をしていて海外旅行どころではないのですが、それでも、規制解除の計画が発表された日は夏のホリデイの予約が殺到したそうです。 私たちも、せめてイングランド内の移動が許可になる4月を楽しみにしています。

丘の外を歩いていて見かけた家です。道路から玄関まで、水の流れ、苔むした岩、スノードロップと、とても趣きがあり、思わず写真に収めてしまいました。