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Enjoy a day out in the English Countryside

海外で暮らすということ

海外で暮らすということ

2022年12月31日

この文章は今年の6月頃に書いたものですが、ブログに出す機会がないままになっていました。今読み返すと、書いた時と思いは同じなので、今年最後のブログとしました。

 

早いものでチェルトナムに住み始めてもう23年目になります。1999年の春に4年間住んだ東京から戻り、車で3カ月間の家探しの末、以前私が英語のコースを取っていたチェルトナムの今の家に落ち着いた次第です。それから毎年、春、夏はお客さんを迎え、秋は自分たちのホリデイ、冬の12月か1月に約二カ月間を東京で過ごすというパターンがずっと続いていました。それが去年はコロナ感染の波が何度も来て、海外はおろか、国内移動も制限されてしまいました。今年に入り、銀行口座や年金に関する用事もあり、日本に行かなければという気持ちが強く、3月、日本入国に際しての面倒な手続きをクリアしてなんとか日本滞在を果たしてきました。用事があったにせよ、なんであれほど日本に行きたかったのかと今思い返してみると、あれは一種のホームシックだったのかもしれないと。コロナ以前は毎年二カ月間日本にどっぷりと浸って、残りの10カ月をイギリスで過ごすことで気持ちのバランスが取れていたのかなとも思えます。

12月のコッツウォルズです。緑の朴草はあっても夏ほど草に栄養がないそうで、羊たちには定期的に干し草が与えられます。

私は長年イギリス暮らしをしていますが、こちらの社会に溶け込んでいるとは思っていません。仕事は日本人相手、子供もいないため地域でのお付き合いもない生活です。パスポートも日本のままです。以前、ずっとこちらに住むのならイギリスの国籍に変えたほうが何かと便利じゃないか、と言われたことがあります。私の知り合いの日本人にイギリス人との結婚を機に国籍を変えた人が何人かいます。そんな一人が、「私たちイギリス人(British)にとって移民が増えるのは問題よね」と発言した時はびっくりしました。国籍を変えるということは自分の帰属意識も変わってくるのか、と。

野ばらの実。冬枯れの風景の中では赤い実が映えます。

コロナ下の生活の中で、自由な時間が増えたせいかユーチューブを見る時間が増え、国際結婚をして海外に住む日本人が、自分の住む国での日々の生活をユーチューブで発信している人が多いことを発見しました。30代―50代が多いようですが、子供がいる人もいない人もみんな逞しく海外で暮らしているのが見えてきます。住む国の文化、習慣の紹介から、毎日の食事、義理の家族とのお付き合いなどなど、おもしろくてつい見てしまいました。私がイギリスに住み始めた頃に比べると外国はずっと近くなりました。航空券も手頃になり、ネットで毎日日本と交信ができる環境になり、昔のように海外暮らしが特別なものではなくなったのです。それでも日本から離れた生活の中、日本から届いた食料や細々としたものが詰まった荷物を嬉しそうに紹介する様子、コロナ禍でしばらく日本に戻っていないので和食が恋しいという人など、海外暮らしの中での日本への思いには大いに共感できます。

芽を出した冬麦畑を通るフットパス。

自分の育った環境の影響は強いものです。若い頃から海外旅行は大好きだったけど、外国に住みたいという気持ちは特にありませんでした。縁があって長くイギリスに住んでいますが、未だにイギリスナイズもしていないとの自覚はあります。長く日本に帰っていないと、特に両親が亡くなると、一時帰国の理由が減り、人との関係も薄くなり、帰ってもしょうがない、という人もいます。日本の冠婚葬祭やわずらわしい人間関係が嫌だから、と定年後もイギリス暮らしを選んだ人もいます。老後はイギリス?それとも日本に帰るの、とはよく聞かれる質問です。こちらに住み始めた頃は老後をどうするかなんて考えてもいませんでしたが、自分がその年代になった今、正直、日本に帰りたい気持ちはあります。でも最近は、自分の居場所は家族(ジョンだけですが)のいるところかな、と思うようにもなりました。幸い、姉も親しい友人たちもまだまだ元気なので、体力が続く限り日本に行って楽しんでこようと決めたところです。そんなわけで来月の中旬にまた日本に行く予定なので、ブログは3月までお休みさせて頂きます。

以下の写真はクリスマスの日にマンチェスターのジョンの姪の家で撮ったものです。

クリスマスデイナ用のローストターキー。約8キロあり焼くのに4時間かかったそうです。これでも小さいサイズとのこと。5人分切り取っても半分以上残りました。

 

お気づきでしょうか。テレビで国民向けにクリスマスの挨拶をしているのは、去年までのエリザベス女王ではなく、チャールズ国王です。デイナーを食べた後に午後3時からのスピーチを聞くのも国民にとって習慣となっています。 ツリーの前にいるのは姪が飼い始めた生後7か月のゴールデンレトリバーのヘンリー。
ジョンのお姉さんの家族とクリスマスディナーを囲んで。