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Enjoy a day out in the English Countryside
再び湖水地方へ
今年のイギリスの天気はとにかく雨が少なく、まったくイギリスらしくないのですが、その傾向は6月末になっても続いています。5月中旬、普段は雨の多い湖水地方も天気が安定、との予報に、チャンスとばかり去年に続いてキャンプに行くことにしました。人気の湖水地方、ホテルやB&Bはかなり前からの予約が必要なのですが、キャンプ場なら直前の予約でも大丈夫と予想していました。でも誰もが同じ考えを持つようで、ここというキャンプ場はすべて予約で埋まっていました。それでもなんとか見つかったのが、湖水地方の端にあり、辺鄙な場所に位置する農家が空き地を利用してのキャンプ場だったのです。結果的には静かで居心地はよかったのですが。
当日、湖水地方の賑やかな中心から外れて田舎道を走り、ようやく辿り着いたのは、放し飼いの羊以外周囲には何もない野原にポツンと建っている農家でした。キャンプサイトは牛の納屋の隣の芝生の空き地で、テントにいると時々牛の鳴き声が聞こえてきます。その納屋の隣にトイレとシャワールーム、少し離れた母屋の隣には小さな洗い場と冷蔵庫、冷凍庫が置いてありました。こんな辺鄙な場所にあるキャンプ場でも、設備が揃っているのはさすがに国立公園内にあるからでしょうか。着いた日は私たちと同じような大型のテントとキャンピングカーが2台だけでとても静かでしたが、週末はさすがにテントの数がグンと増えました。一時間かかってテントを設営し、ここで4日間、周辺を歩いたり、海岸沿いをドライブしたりして過ごしました。
湖水地方はジョンにとっては馴染みの深い場所です。育ったマンチェスターからは車で二時間の距離なので、14歳の時に初めて一人テントをもっておじさん一家に合流してキャンプをしたそうです。私にとっても思いのある湖水地方です。23歳の時に貯めた資金で六か月間、ヨーロッパをユースホステルや安宿に泊まりながら旅行をしたのですが、旅行後はイギリスで働きながら一年近く過ごしました。その間、夏場の3ヵ月を湖水地方のKeswickの町の近くのホリデイセンターで働いていたのです。お客の数が増える夏には従業員も臨時採用で増やし、私の他にもカナダ、オーストラリア、フインランドからの学生が夏休みを利用して働きにきていました。今のワーキングホリデイの先駆けみたいなものです。
仕事は一週間ごとに入れ替わる100人近いお客さんのための部屋の清掃、朝夕の食事のお世話でした。湖水地方という場所柄、お客さんはハイキングが目的で、センター側が滞在中のスケジュールを作ります。ウオーキングにも難度が異なるA.B.Cのコースがあり、ガイドが連れて行ってくれます。夕食後にはダンス、音楽、クイズなどの催しも用意されていました。スタッフが休みの日にはお客さんのハイキングに参加できたので、お客さんに交じって一緒に山を歩いたものでした。夜、仕事を終えてみんなで近くのパブに行ったのもなつかしい思い出です。一人印象に残っているお客さんがいます。ハイキングに参加した時に30歳ぐらいの男性と話をしていて、日本人に偏見はないけど一人だけ大嫌いな日本人がいる、というので、だれか、と聞いたら、オノヨーコでした。彼はビートルズの大ファンだったのです。
好奇心だけは旺盛でしたが、片言の英語で怖いもの知らずの行動は若かったからできたと思っています。ちなみにそのホリデイセンターは今でも健在です。労働者が権利として一週間単位の休暇が取れるようになったのは、ヴィクトリア時代の後なので、100年以上前になります。それまでのリゾート地は富裕層向けだけだったのが、働く人達も利用するようになり、手頃な料金で過ごせる宿や施設が、イギリス各地の海岸や湖水地方のような地域のリゾート地に増えていったようです。
天気の心配のない湖水地方はめったにないので、4日間、青空の山と湖の景観を楽しんできました。
下の写真は最近畑で取れた野菜です。