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街のチャリティショップ

街のチャリティショップ

2016年4月28日

昨晩、ジョンが介護のために通っているマンチェスターのお母さんの許から戻ってきました。今回も出かけた時より荷物が増えています。お母さんの家にヘルパーが来ることになったため家の中を片付けているそうで、不用品を持ち帰ってくるのです。 向こうでもかなり捨てているとは言っているのですが、ゴミに出すのがもったいないものはとりあえず持ち帰り、どう処分するか決めるとのこと。当のお母さんは20年以上も前に再婚相手と離婚、それ以来一戸建ての家に1人暮らし、整理整頓が不得意、とあれば家の中の「物」はどんどん溜まっていきます。中には捨てるには忍びない物がたくさんありますが、私達も生活に必要なものは揃っているので、結局は処分することになります。まだ使えそうなものはチャリティショップへ、別にリサイクルに出せるものは一まとめにして、残りはゴミ箱へ、と時間がある時に仕分けしています。これは新品に近いから使わない?とお母さんの古い洋服、ハンドバッグ、靴を持ってきて私に見せますが、悪いけどちょっと、と処分してもらいます。1年半前に亡くなったお父さんのアパートから来たものの片付けが終ってからそれほど時間が経っていないのです。その時もジョンが、これは取っておきたい、と捨て切れないものが地下室の棚にあるのに、今度はお母さんの家からか、と私はため息をつきたくなります。他人には価値はない思い出の品、センチメンタル バリューで捨てられないのはわかるのですが、家の中はもうこれ以上物を増やせない状態なので、全部処分して欲しいのが正直な気持ちです。

イギリスにはさまざまな種類の慈善団体が存在します。日本で知られているのは赤十字、救世軍ぐらいですが、イギリスで数ある中でも一番大きな慈善団体はオックスファム(Oxfam)でしょうか。世界のどこかで大きな災害、紛争、飢饉などが起きると即、必需品を被災地に送ります。そのすばやい対応には目を瞠るものがあります。オックスファム以外にも、サポートが必要なお年寄り、動物愛護、ホスピス、ガンの治療研究など諸々の団体があります。チェルトナムにも10軒以上も異なった目的の慈善団体が経営するお店があり、イギリス人にとってはとても身近な存在となっています。家庭の不用品は自分でカーブーツセール(Car boot sale)、(日本のフリーマーケット)で売るか、チャリティショップに持っていくのが、イギリス式不用品処分の方法です。ジョンのお父さんのような1人暮らしのお年寄りが亡くなると、チャリティショップのスタッフが家まで来てくれ、家具を含めて売れそうなものを持っていってくれます。そうした寄付で集まった品物を店に出して、売り上げを慈善に回す仕組みになっています。

004.JPG 006.JPG団体本部では専従で働いている人もいますが、お店の方はボランティアの人で運営されていて、主に年金生活のお年寄りが頑張ってお店を切り盛りしています。家具、本の専門店まであります。町の人も、掘り出し物はないか、と気軽にチャリティショップに立ち寄ります。私もチェルトナムに引っ越してきた頃はよく利用しました。 何足かあるハイキング用の靴(お客さん用)はすべてチャリティショップで揃えました。少しくたびれた山靴は、歩かなく(歩けなく)なった人が持ち込んだのでしょう。ちゃんと役に立ってくれてます。愛用しているサラダボールもジャム入れもチャリティのお店での掘り出し物です。自活を始める学生、東ヨーロッパから来る出稼ぎの人たちにとっても生活用品が安く手に入る便利な存在です。何軒もはしごすれば欲しい品物が見つかる可能性も高くなります。

008.JPG慈善団体の募金を募る方法は店の売り上げだけでなく、個人から定期的に募金を募るのも一般的です。この募金方法がかなり強引なことで問題になったこともあります。お年寄りが善意で、それこそ何十もの団体からの募金を受けてしまい、経済的に払いきれなくなった、という話がニュースで話題になりました。一度募金をすると、その慈善団体から何回も定期び募金勧誘の郵便が届くのです。いくら慈善のためとはいえこれは行き過ぎでしょう。

このチャリティの精神はイギリス人の中にしっかりと根付いているようで、テレビのチャリティ番組も盛り上がります。BBCが毎年秋に大々的に行う「Children in need」を始めいくつかありますが、その都度、歌手、俳優、スポーツ選手などの有名人も積極的に協力して視聴者から募金を募り、毎年、何百万ポンドもの大きな金額が集まります。学校、地域、職場のグループなども協力して募金を集め、大勢の人が楽しみながら参加している様子、そして、集まった募金に助けられた人たちの様子が番組で紹介されます。個人でもチャリティ目的のマラソン参加や過酷(?)なアウトドアスポーツにチャレンジし、それに対して賛同者がお金を出す形の小規模なチャリティ活動もよく見かけます。

慈善のため、とおおげさに考えなくても、不用品はチャリティショップへ、寄付で集まったありとあらゆるものが並ぶお店はイギリス人にとって身近な存在です。日本でも、ビジネスとしてお店ではなく、慈善活動としてイギリスと同じようなシステムがあれば、家庭で眠っている不用品が社会の役に立つ一方、格安で掘り出し物が見つかるお店が身近にあれば楽しいのに、と思うのは私1人ではないと思うのですが。

写真は街のチャリティショップです。お店の中の写真を撮ってもいいですか、と聞いたら、残念ながら断られてしまいました。
庭の桜がようやく満開になりました。縦に枝が伸びる日本では見かけない桜です。
細かい赤い花も庭に植わっているものです。(名前は不明)
これからイギリスは花がきれいな季節に入ります。