BLOG

Enjoy a day out in the English Countryside

チェルトナム競馬とアイルランド人

チェルトナム競馬とアイルランド人

2016年3月30日

毎年、3月の中旬にチェルトナムで大きな競馬が4日間開催されます。中でもゴールドカップは日本でいう有馬記念とか天皇杯に匹敵するするほど人気の高いレースです。ただ、日本の競馬は平地を走るフラットレースですが、チェルトナムの競馬場は障害専用です。コースに何箇所ものヘッジのような障害を置き、それをジャンプで乗り越えるかなり過酷なレースなので、落馬も時々起こります。今年も初日のレースで3頭の馬がジャンプの際落馬事故に巻き込まれて、治療不可能なほどのケガで処分となったそうです。こうした事故が起きる度に動物愛護団体からクレームが出るのですが、そこは障害レース、事故はつきもなのでしょう。今年も火曜日から金曜日までの4日間のレースに25万人を越える人が小さなチェルトナムの町を訪れたそうです。ステインクロスにも3泊だけですが、アイルランドのダブリンから来た5人の男性が泊まっていきました。もう6,7年続けてきている常連のお客です。

march 2016 117.JPG日本の競馬というと、労働者風のおじさんが赤ペンを耳に競馬新聞を手にしているイメージ(古いでしょうか)がありますが、イギリスの競馬はもっと社会的に認められていて、王室関係の人にも競馬ファンは多いのです。女王自身、馬を所有しレースにも出しているし、コッツウォルドに住むアン王女も毎年のようにレースを観に来るそうです。テレビで観る限り、アスコット競馬ほど着飾る人は多くはないですが、レース関係者は正装です。うちに泊まる30代のお客さんは全員会計士とかの専門職でまあまあ裕福そうですが、出かける時はスーツ姿です。今回、1人は伝統的なツイードの上下に鳥打帽で装い、お似合いますね、と言ったら、お父さんから貰った、とちょっと得意げでした。

チェルトナム競馬は特にアイルランド人の間で人気があり、競走馬もお客もアイルランドから大勢やってきます。 アイルランドと聞くと私達日本人は何が浮かぶでしょうか。ケルト文化、緑の草原、アイルランド音楽にダンスなどでしょうか。以前は私もアイルランドにロマンチックなイメージを持っていたのですが、競馬のお客と接するようになって大分変わりました。私たちからみるとイギリスとアイルランドは言葉も共通だし、風景も似ているし親戚同士の国のようにに思えますが、国民性はイギリス人に比べ、人懐っこい、何事にもアバウトな点、が私の印象です。

そしてもう一つ、とにかく来る人来る人がみんなお大酒飲みなのです。今の常連客以前にもアイルランド人が泊まっていたのですが、例外はありませんでした。競馬=ギャンブル好きがお酒好きなのか、私には判断できないのですが。。。
今の常連の5人組は昔からの友人同士だそうで、今年は仕事が終ってから競馬初日の前夜に着いたのですが、夜中の12時頃にお酒類をどっさり持って現れ、台所のテーブルに着いて持参のお酒を飲み始めたのです。何年も来ているので、ビール用のグラスと栓抜きをテーブルに出しておいたのですが、今回はビールだけではなく、ワイン、ジンのボトルまで持ってきたそうです。私は彼らの到着前にベッドに入ってしまっていたのですが、出迎えたジョンが、翌朝、なんだか2時頃まで飲んでいて、氷はないか、とまで聞かれたそうです。翌朝冷蔵庫を開けたら、隙間にびっしりとビールの瓶と缶が入っていました。慣れてくると、どうも遠慮がなくなってくるようです。以前は朝食も出していたのですが、朝、決まった時間になかなか降りて来ないので、困ると注意をしたら、翌年、朝食は近所のホテル(けっこう高級な)で取ると連絡があり、私として朝食作りから解放されてホッとしたものです。朝食を出さないから、まあ夜家の中で飲むのは仕方がないかな、とは思うのですが、それも程度問題です。二日目からは競馬の後、外で飲んでくるので、残っているものを飲むくらいなのでそれほど長くは座っていないようですが。 みんなフレンドリーでいい人たちなのですが、チェックアウトしたときの解放感は格別です。競馬開催中の街中は、パブもかきいれ時とばかり、店の前にテントを張って大勢のお客に対応しています。競馬のある日に用を足しにタウンセンターに出た帰り道、お昼頃でしょうか、電車の駅の方角からぞろぞろ歩いてくる何組もの男性のグループとすれ違いました。何人かはもう大きな紙容器に入ったビールを抱えていました。駅前のパブで買ったのでしょう。中のビールが黒かったからあれはきっとアイルランド人の好きなギネスです。競馬が目的とはいっても、お酒を含めてのお祭りみたいなものなのでしょうか。

チェルトナムは様々なフェスティバルが開催されるのことでも知られています。ミュージック、サイエンス、リテラチャー(文学)とありますが、訪れる人の数が圧倒的に多いせいもあり、ゴールドカップの週の街中はまた特別な雰囲気で、アイルランド色に染まるのではないか、と思うくらいです。ちなみに3月17日はセントパトリックデイ、アイルランドのお祭りの日で、アイルランドからの移民が多いニューヨークで毎年行われる盛大な緑一色のパレードが有名です。この日アイルランド人は緑色のものを身につける習慣があるそうです。

march 2016 112.JPG今の常連のお客は、飛行機の出るバーミンガム空港への帰りはリムジンで、というのが習慣になっています。初めての年、うちの玄関先に真っ白な長い車体のリムジンが止まった時はびっくりしました。もちろん荷物と一緒に缶ビールをかかえてのお帰りです。
私は競馬場には行かないので、りりしい競走馬の写真を撮れないのが残念です。上の写真は店先に景気づけのためか風船を飾った賭け屋さんと臨時に立ったパブ。真ん中の写真は商店街から出る競馬場行きのシャトルバス、人もバスも行列です。下はお客さんが乗り込んだリムジンです。チェルトナムではめったに見かけない車です。

march 2016 119.JPG
april 2016 004.JPG
10年位前にコッツウォルズのガーデンで買ったちょっと変わった色のプリムローズ、庭に植えたのですが、増えたのでポットに移し台所に飾っています。
黄色い水仙は3月のイギリスの春のシンボルのような花です。
3月後半に出かけたハイキング中に見かけた大きな農家のドライヴウエイの脇に沿ってみごとに咲いていました。