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Enjoy a day out in the English Countryside

ジョンの家族

ジョンの家族

2022年1月1日

イギリスは一年の最大行事であるクリスマスが終わり、何か気が抜けたような雰囲気が漂っています。オミクロン種が拡がるイギリスですが、クリスマスに向けての規制強化がなかったので、今年は誰もが二年ぶりに家族や友達達と集まって本来のクリスマスを過ごせたことでしょう。そのためにクリスマス直前まで3度目のワクチン接種を受けるのにどこも長い行列ができたほどです。去年は私の体調があまりよくなく、ロックダウン下だった事もあり、マンチェスターにはジョン一人で行ってもらいましたが、今年は恒例になったジョンの姪、サラの家でのクリスマスディナーに私も参加しました。私がミンツパイを、ジョンがトライフルを作り持参しました。どちらもクリスマス時期のスイーツです。

クリスマスの家族写真。ジョンの頭にあるのは紙のパーティーハットです。クラッカーと呼ぶ紙の包みで両端を二人で引っ張るとポンと大きな音と共に筒が割れて中身が出てきます。帽子や飾りなどの小物の他、イギリスらしくジョークを書いた紙が入っています。今回のジョークは Why is six(数) afraid of seven? 答えは Because seven eight(ate) nine です。おわかりですか?

料理の準備があるので到着は一時過ぎと言われていたので、チェルトナムを朝の8時半に出発、休憩を取りながらマンチェスターに着いたのは12時少し前でした。まず東側郊外に住むジョンの甥であるグレアムをピックアップ、その後、ジョンの母親の知り合いだった男性、ビリーを迎えに行って姪の家に向かいました。サラとジョンのお姉さんのジョアンが私たちを迎えてくれました。本来ならジョアンの家で集まるのですが、家が小さく狭いので、サラの家を使っているようです。ボーイフレンドと一緒に住んでいますが、彼の方は一人っ子なので、自分の両親宅でのクリスマスだそうです。

ターキーディナー。必ず芽キャベツが付きます。右のナプキンの横にあるのがクリスマスクラッカーです。

 

ジョンの4歳年上のお姉さんのジョアンは現在一人暮らし。昔からおしゃれ好きでアウトドアスポーツには興味がなく、同じ姉弟でも性格はまったく違います。髪の色はジョンと同じで茶色だと思うのですが、いつもきれいな金髪に染めていて、実際の髪の色は見たことがありません。20代の頃、ボーイフレンドと暮らしていて、息子のグレアムが生まれたのですが、その後ボーイフレンドが家を出ていき、別な男性と結婚しました。娘のサラができ何年か続いた結婚生活も、相手が暴力を振るうようになり、二人の子供を連れて逃げるように家を出て離婚。シングルマザーとして生活が落ち着いた頃、別な男性と親しくなり、10年以上も一緒に住んでいましたが、うまくいかなくなり、現在は一人暮らしです。ジョンの母親も二度離婚しているので、「我が家の女性は本当に男選びがへただ」とジョンが嘆いていたことがあります。ジョアンとは私も共通点がなく、認知症になった母親の介護のためにチェルトナムから頻繁に通っていたジョンに対し、近くに住んでいながら何もしなかった彼女を見ていたせいか、あまりいい感情は持てませんでした。それでもジョンは怒りもせず、家族だからと、母親の死後もこだわりなく、小まめに連絡を取り合っているので、今でもいい関係を保っています。

グレアムと5カ月の子犬(雑種)のヒューゴ。

息子のグレアムは、ジョアンと別れたあと結婚した実の父親とも疎遠になり、母親の結婚相手、交際相手との同居が続いたせいか、性格に少し難しいところがありました。それでも24歳で結婚し、私たちも式に出席したのですが、二年後に離婚。その後、精神的に不安定な時期もあり、母親に自殺をほのめかすような電話をしたりして周囲を心配させたのですが、なんとか立ち直り、今はコンピューター関係の仕事につき、家も買って落ち着いた生活をしています。ところが、去年の秋、母親に、自分が実はゲイであることを打ち明け、付き合っているという男性を連れて母親に会いに行ったそうです。私たちもびっくりです。でもその後の報告では一年もたたないうちにその男性とも別れたそうですが。今回、初めて彼の家に行き、私は10年振りに会ったのですが、もう30歳半ばになり、髪も薄くなっていました。見た目がよくないからと全部剃って坊主頭にしたそうです。 家の中は男性の一人暮らしにしてはきちんとしていて、庭作りも料理も好きなということも初めて知ったことです。グレアムと一緒に現れたのは真っ白なかわいい子犬です。最近もらい受けたとかで、喜々として子犬の世話をするグレアムは普通の落ち着いた中年になりかけの男性でした。

ミンツパイです。パイ生地は私が作ったショートクラストでサクサクとした食管です。中身は市販の瓶に入ったいレーズンやスパイスなどのソースです。

グレアムより6歳年下の妹のサラの方は、私たちがマンチェスターに住んでいた頃に、母親のジョアンが離婚して住んでいたウエールズからたまたま私たちの近所に引っ越して来ました。ジョンと一緒に会いに行った時は母親の後ろに隠れてしまうほどシャイだったのですが、成長するにつれてしっかりした女の子に変わっていきました。母親が同居していた男性と別れる際にもめた時も、母親をかばってその男性と話し合いました。車の免許を取ろうともしなかったグレアムと違い、大学時代にパートで働きながら免許を取り、中古の車まで買っていました。卒業後はカウンセラーとして働いています。母親とはとても仲がよく、まるで友達感覚で二人でスペインにホリデイに行ったり、フィットネスクラブに通ったりしています。一人暮らしのジョアンにとっては心強い娘です。

最後にもう一人、グレアムの次にピックアップしたアイルランド人のビリーのことを少し。70代後半の彼はジョンの母親が認知症になり始めた頃に、買い物先で困っていたところを助けてくれたそうで、それ以降、一人暮らしの彼女を定期的に様子を見に行ってくれたとのこと。母親のお葬式にも出席してくれ、以来、ジョン達が集まる機会にはビリーも呼ぶようになりました。カソリックの国、アイルランドではよくある、貧しい家の子だくさんの家庭に育ち、学校を出てすぐに仕事を求めてマンチェスターに来て以来、ずっとこの地に住んでいます。今は年金暮らしですが、ずっと渡り労働者のような生活を続け、仕事の後は毎日パブで仲間と飲んでいたそうで、結果、アル中になって体を壊し、今はアルコール類は一切口にしないとのこと。一度結婚したこともあるようだとのジョンの話ですが、現在は市営のアパートで一人暮らしです。親切だけど、口が重いし、アイルランド訛りが強く聞きづらいので、私にはちょっと話にくい相手なのですが、ジョンとは定期的に電話で近況をやり取りしています。

今年はみんな揃っての和やかなクリスマスでした。サラが意外にももてなし上手で、家の中に落ち着いた私たちに食前酒を勧めてくれ、クリスマスツリーの下に集めたプレゼントを交換し、そのあとに、ターキーのクリスマスディナーとなりました。家の中の飾りつけもテーブルセットもセンスがよく、素っ気ない我が家と比べると雲泥の差です。食後も、コーヒーは? チョコレートは?と気を使ってくれ、ファミリークリスマスをうまく演出してくれたのです。

家の中ではビデオで、台所ではCDでずっとクリスマスソングがかかり、往復7時間の車の中でもラジオからクリスマスソングが流れ、頭の芯までクリスマス曲が染み込んだね、と言いながら夜中の12時にチェルトナムに戻ってきました。

このブログの仕上げをしている今日は、気がついてみれば大晦日の31日でした。日本のように特に新年の準備もないので、まったく普段と変わらない一日です。ブログを読んでくださる皆様、どうぞよいお年をお迎えください。2022年こそ、コロナフリーとは言いませんが、より自由に暮らせる年になりますように、と願ってやみません。どうぞ来年もよろしくお願いいたします。

12月の霧の濃い朝、近郊のクリーヴヒルの丘に登ったら周囲がすべて霧に覆われて丘の上は青空でした。めずらしい気象条件だそうで、昼頃に戻ったチェルトナムの街は一日ずっと霧の中でした。