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Enjoy a day out in the English Countryside
国のリーダーとしての品格?
イギリスはオミクロン種の感染のピークが過ぎ、一時20万人を超えた感染者が今は6万人前後となり、一息ついているところです。先月の26日に、政府からすべての規制が解除になる旨の発表がありました。マスク着用さえ必要ありません。さすがにロンドンでは市長が公共の乗り物でのマスク着用の義務は残したようですが。
日本のニュースでも報じられていると思いますが、今、イギリスでは首相のボリスジョンソンの国民の感情を逆なでするような不祥事が次々と明るみになり大きなニュースになっています。2019年の総選挙では保守党が圧倒的勝利をおさめ、選挙前に辞任したテレサメイ元首相に代わって党内選挙で選ばれたのがジョンソン首相でした。保守党が特に人気があったわけではないのですが、当時、野党の労働党の党首がかなり左寄りの問題の多い人で、党を束ねる力もなかったせいか、選挙では伝統的に労働党の地盤の多くを失い、完全敗北になった結果です。選挙の翌年に起こったコロナ感染が拡がり始めた頃の政府の対応が遅れ、感染者数、死亡者数がヨーロッパで一番多かったのはご存じの通りです。その後はワクチン普及を積極的に進め、国民の信頼をある程度取り戻した首相でしたが、元々の性格か、圧勝した選挙の結果自分を過信したのか、ポロポロと不祥事が出てきたのです。
まず、保守党議員の一人がある企業のアドバイザーの副業をしていて、議員の立場を利用、関係議員にその企業をNHS(国民医療制度)で採用するように働きかける、いわゆるロビーイングをしたことが発覚、その議員は結果的に辞職したのですが、ジョンソン首相がその議員をかばって、法律まで変えようとしたのです。議員の辞任後に補欠選挙があり、長く保守党が続いていたその席を自由民主党(第二野党)から出た新人に奪われてしまいました。
続いて、首相官邸に引っ越しの際、部屋のリフォーム用に使った高価な壁紙代(1ヤード(90cm)800ポンド!)を党の裕福な後援者に払ってもらったことがすっぱ抜かれ、自分は知らなかった、と主張したのですが、その後援者と交わしたメールが見つかり、自分で払う羽目になりました、次は、去年の12月、規制中にもかかわらず官邸内でクリスマスパーティーを開いていたことが明るみになり、ビデオでそのパーティーのことで冗談を言った首相のアドバイザーが辞任。その後も、規制中、官邸内でスタッフが何回も飲み会を開いていたことが判明しました。去年の4月にエリザベス女王の夫君が亡くなり、そのお葬式の前日にも官邸でパーティーがあったことが発覚し」、官邸が女王に正式に謝罪したそうです。首相本人も含め、タガが外れたような官邸職員の行動は、首相であるB.ジョンソンの日頃の態度を反映した結果と思われます。
長かったロックダウン中、ケアホームに入っている親とも会えず、病院で亡くなった家族も看取れず、など国民が厳しい規制を強いられていた時期に、国民に自ら規制を呼び掛けた、手本となるべきリーダーが官邸内では違反行為を繰り返していたのです。国民が怒るのも当然です。首相はといえば、追及されるたびに否定し、はっきりとした証拠が出てくると、知らなかった、とか、あれは仕事の一部だった、と見え透いた言い訳をする見苦しさ。潔く辞任、とはまったくならず、いかに切り抜けられるか、と必死になるばかりです。一連のパーティー行為(パーティーゲイト)の調査がお役所のトップ2によって行われましたが、その調査中、警察(スコットランドヤード)からも規制中の違反行為の調査として介入したせいで、警察の調査が終わるまでは、役所側の調査結果はかなり縮小された形で1月31日に公表されました。国会の答弁では一連の不祥事を謝罪はしましたが、だからと辞任する気はまったくないようです。保守党の中には、首相を見限る議員もいますが、容認する議員も少なからずいるのです。今は警察の調査報告、それを待って役所側の全報告も公表される予定なので、官邸のパーティーケートの全容がはっきりするまで時間がかかりそうです。あくまでも続投する気でいる首相ですが、国民の感情としては、責任をとって辞めてもらいところでしょう。日本では紳士の国として知られる英国ですが、今のこの国のリーダーは見苦しいばかりで、「品格」のひとかけらもないようです。
以下の二枚はコッツウォルズの一月の冬枯れの風景です。花がなく色彩に乏しくても、青空の下での田園風景はやっぱり絵になります。