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Enjoy a day out in the English Countryside

花の季節です。

花の季節です。

2014年5月21日


bluebells for blog 068.JPG5月に入り、イギリスは益々春爛漫です。今の時期にチェルトナムから近郊に出ると、まさに緑、緑の世界です。イギリスの牧草は冬でも枯れずにグリーンのままなのですが、春になると、石垣で区切られた野原は、牧草の他に、大麦、小麦、それに最近では菜の花(油を採るため)が加わり、まるでパッチワークのようになります。そして、生垣に沿ってサンザシの白い花、フットパスの両側にはレースフラワーが目を楽しませてくれます。
026.JPGイギリスを代表する花というと、何といっても「パラ」につきますが、バラにも実に様々ま種類があり、街中でもコッツウォルドの村でもバラが植わっていない庭はないくらいポピュラーです。イギリスの気候に合っているのでしょう。剪定をして肥料をあげておけば、虫がつくわけでもなく、特に手入れをしなくても季節が来るとちゃんと咲いてくれます。我が家にあるのは黄色い、花自体が小さめですぐに散ってしまうタイプなので、大輪のバラが欲しく、ジョンのお母さんの庭から一本枝をもらい、今、見よう見まねで挿し木中です。うまく根がついてくれると嬉しいのですが。
025.JPGイギリス人に親しまれている花としては、バラの他に3月の黄色い水仙と4月の後半に咲くブルーベルを私はあげたいと想います。イギリス人なら誰でも知っている詩人のワーズワースの詩でも有名ですが、北国の3月、まだ春浅い時期にあざやかに咲く黄水仙は春の訪れのシンボルのようです。そして、ブルーベル。スペイン原産の栽培されたブルーベルは4月の中旬になると、薄い青と白いベルの形をした花を街の至るところで見かけます。

繁殖力が強く、まるで雑草のごとくです。我が家の庭でも植えた憶えはないのですが、種が飛んできて根ついたのでしょう。かわいい花なので、そのままほっとおいたらどんどん増えていき、今は敷石の間からも芽を出します。それでも、林の中に群生する小さくて濃い紫色の野生のブルーベルにはかないません。この時期の風物詩として、テレビの天気予報でも、どこどこのブルーベルが見ごろです。。。と登場します。

私達も4月の後半にハイキングを兼ねて観てきました。チェルトナム周辺では、隣町のグロスターに近い Forest of Dean が有名らしいのですが、私達が毎年行くのは、もう少し近くにあるコッツウォルド丘陵の谷間にある シープスクーム(Sheeps Comb)の村のはずれにあるナショナルトラスト所有の林です。ここ何年かはブルーベルより少し遅れて咲くワイルドガーリック(ギョウジャニンニク?)に押され気味で花の数が減っていたのでちょっと心配でしたが、今年は林の木が間引きされていて、林全体が明るくなり、陽もよく通るようになったのでしょうか、なだらかな斜面に紫の絨毯が拡がっていてほっとしました。
018.JPG3月も終わり頃になると、今頃、日本では桜が咲き始めたかなあと、海外に住んでいても日本の春に想いをはせるのですが、同じように、外国に住むイギリス人(その数は日本人のそれとは比較にならない位多いようです)も、バラやブルーベルを想うのでしょうか。

私が初めてイギリスに興味を持ったのは小学生の頃に読んだ「秘密の花園」という少女向けの本でした。インドに生まれ育った10歳のメリーが、コレラで両親を亡くし、イギリス、ヨークシャーの荒野にある大きなお屋敷に住むおじさんに引き取られます。早春の庭を歩くうちに、お屋敷の広い敷地の一画に10年間閉ざされたままのガーデンがあるのを知ります。コマドリに導かれて土に埋まった鍵が見つけ、そのガーデンに入ることができます。すべての植物が死んだようになっていた庭でしたが、枯れた草の下にはあちこちに新しい芽が出ていました。クロッカスです。 ガーデンを生き返らせるために働いているうちに、やせっポッチで気難しいメリーが少しづつ明るくなっていく、というのがストーリーなのですが、都会しか知らない私は、クロッカスってどんな花だろう、と想ったものです。このクロッカスとヒーターラビットの絵の中でいつもピーターとセットになっているような、背の高いフォックスグローブの花が長い間私のイギリスのイメージの中の花でした。どちらも典型的なイギリスのカントリーサイドの中のお話です。

ヨーロッパのほかの国でも家の中に花を飾る習慣があります。フランス、オランダ(多分他の国でも)に行くと、街中に花屋さんやフラワーマーケットをよく見かけます。それでも、イギリス人ほど生活の中で花を楽しんでいる国民はないのではないでしょうか。花が育つのに適した気候、庭付きの住宅が多いことも理由の一つかもしれません。

もうしばらくすると、店先や大通りにハンギングパスケットがかかり、街は一層華やかになります。
写真の教会はコッツウォルドの村、サパートン(Sapparton)にあります。屋根の風見鶏は Sheeps Combのパブの上に立っているものです。