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Enjoy a day out in the English Countryside

イギリスのコロナ感染事情

イギリスのコロナ感染事情

2020年6月29日

私が日本からイギリスに帰国して一ヶ月が経ちます。 日本と同様、テレビ、ラジオのニュースの大半は今現在でもコロナ関連で占められています。 イギリスでの感染者は30万人を越え、亡くなった人の数は4万2千人にもなります。 今でも全国で一日に千人以上の感染者が出ていますが、ピーク時に比べると随分と落ち着いてきて、3ヶ月に及ぶロックダウンも段階的に解除されてきています。 学校も一部ですが再開、一般のお店、ミュージアム、遊園地などは先週始めから開いています。 イギリス人の大好きなサッカーの試合も無観客で始まりました。レストラン、パブは1,2週間内に店の外での飲食が許可になるとのこと。

エルダフラワーの花です。レースのような繊細な花は独特の香りがしてさわやかな夏の飲み物にもなります。

感染は主にロンドン、バーミンガムなどの大都市で広がったのですが、チェルトナムがあるグロスター州でも感染者が1400人以上にもなりますが、ここ何週間は週に一桁に減ってきています。 私がこちらに戻ってまずびっくりしたのは、マスクをしている人がほとんどいない事でした。 二週間の自己隔離が終ってスーパーに行ったのですが、店の従業員は誰も、お客も8割方ノーマスクでした。 コロナ対策として、入店者の数を制限、レジの前にはシールドが張ってありましたが、広い店内で少ない客数なので感染の可能性は低いのかな、との印象でした。チェルトナムから5キロほど離れた近郊の小さな町に80代の日本人とイギリス人のカップルが住んでいます。私が電話で、「もしマスクが必要だったら余分にあるから」 と言ったら、「持っているけど使ったことがない、この町では感染者が出ていないし、周囲にマスク姿もいないから」 との返事でした。 ロックダウン中も2人でスーパーに買い物に行っていたそうです。 チェルトナム市内でも100人以上の人が感染で亡くなっているのです。 外出時はほとんどの人がマスク姿の日本から来ると、このイギリス人の無防備さは何だろう、と真剣に考えてしまいました。マスクは医療従事者が使うもの、という意識が浸透していて、マスクの効用が伝わっていないようです。 それでも、二週間前から公共の乗り物であるバス、電車を利用する際はマスク使用が義務付けられました。 ロックダウンが終り、通勤客が戻ってきたためらしいです。 逆に、お隣のご夫婦はご主人が80代で糖尿病を持っているから、とロックダウン以来外出は朝の散歩(マスクなしですが、ゴムの手袋をして)だけで、未だに自宅に閉じこもっているという徹底振り。 買い物はすべて配達に頼り、時々ジョンが足りないものを聞いて調達しています。 人に寄って感染への対応の差にも驚かされます。

最近になって、なぜイギリスの感染者数がこれだけ多く出たのか、という検証が少しづつ始まったようです。他のヨーロッパの国に比べコロナ感染がイギリスに広がったのは少し遅れてですが、大陸に休暇で行っていた人たちが持ち帰ったのが始まりとのことです。 EU離脱問題で忙しかった政府がコロナウイルスの感染力を低く見ていたこと、特に専門家達の意見がまとまらずロックダウンの決断が遅れたことが蔓延拡大の大きな原因と言われています。 感染拡大中も、政府が目標としていたPRC検査の数字も、実際に行われた検査の数にはほど遠いものでした。 感染は主に大都市に集中していたのですが、黒人、サウスエイジアン(バングラデシュ、パキスタンを指します)の低所得者層に死亡者が多いが特徴の一つです。キイワーカーとしての仕事、狭い住宅に大家族が同居していること、肥満、糖尿病等の生活病持ちの人が大勢いたことが死亡率が高い理由となっています。 ジョンソン首相が感染して重症化したのも肥満が原因と言われています。 もう一つの大きな特徴は、高齢者施設で亡くなった人の数の多さです。 約40%のコロナ感染の直接、または関連した死亡者は介護施設に入居していた高齢者との報告です。 皮肉にも、医療関係者である医者、看護士が施設を訪れた際に感染を拡げたこと、感染医療物資が病院を優先として回されたため、介護施設で不足したこと。 施設のスタッフも不足(慢性的に)していて、人材派遣から同じ人が複数の施設へ派遣されたことが施設での感染を増やしてしまったそうです。 ちなみにイギリスでは施設の介護に資格は特に必要がないので、介護の質は必ずしも高くはないのです。 私の知り合いだった一人暮らしのイギリス人女性は80歳代まで自転車で買い物に行き、自宅でピアノを教えていた元気な人だったのですが、90歳を過ぎて体が弱り、去年市内の施設に入ったのですが、5月にコロナ感染で亡くなったそうです。

日曜日の午前11時。いつもは賑わう商店街ですが、すべての店が閉まった通りは人影もまばらです。
観光客はいなくても、例年のようにハンギングバスケットが大通りにかかりました。

日本に10年間住んでいたというイギリス人のジャーナリストが書いた記事を読んだのですが、感染が広がった頃、イギリスに比べて高齢者層の数の多さ、都会の密集度、通勤電車の混雑振りなどから日本では爆発的に感染が拡がる、と予想していたそうです。 それが、日本では医療崩壊も起きず、死亡者の数も少ない。逆に日本に比べると致死率が50倍のイギリス、この差は何か、と考えたそうです。 理由として文化、習慣の違いが大きいのでは、と言っています。 イギリス人の衛生観念の低さ、土足で屋内に入る、トイレに行っても手を洗わない人が多いこと、そしてマスクを付ける習慣もない。 そして、日本人の国民性として周囲の人たちを気遣う気持ち。 自分が感染したら周囲に迷惑をかけるから、と気をつける。 行政から言われたことはよく守る。 感染時に日本にいた私にも納得できます。 もう一つ、日本は移民、難民が少ないこと。 英語を話さない、異文化の中近東、アフリカ、南アジアからの人たちの数は日本の比ではなく、生活のほとんどの部分を国に頼っている人たちの生活環境がコロナ感染から身を守るのにいいわけがありません。 日本の文化が感染拡大を防いだ理由の一つかもしれませんが、その文化のマイナス面もある、とそのジャーナリストは指摘しています。 医療従事者に対してのいじめや嫌がらせです。 イギリスでは、医療従事者が命がけで働いていることに対しては、感謝の気持ちのみです。 ロックダウンが始まってから、毎週木曜日の午後8時に国中の人が玄関先で一斉に拍手で感染医療で働いている人たちに感謝の気持ちを表したのです。 私が帰国した翌日がその拍手の最後の日でした。 住宅地を歩くと窓に張った虹の絵をよく目にします。 子供達が医療従事者への感謝の気持ちを表したものです。

近くの小学校の窓に飾ってあった感謝の絵です。
これもNHS(国民医療サービス)で働く人たちへの感謝の幕です。

このブログを書いている最中に、7月4日から一部の業種(ネイルサロン、フィットネスクラブ、ナイトクラブなど)を除いて全面解除になるとのニュースがありました。 人との間隔も2メートルから1メートルに縮小。 これからはコロナ感染から身を守るのは各自の責任で、ということです。 コロナ以前の普通の日常生活が戻るのはいつになるのでしょうか。

来週はもう7月。 例年ならお客さんで忙しい時期ですが今年は静かです。。。 このところ朝食後、庭に出てラズベリー、ローガンベリーの実を摘んでいます。今年はお客用のジャムは必要ないので、摘んだラズベリーはヨーグルトをかけてデザートに、ローガンベリーは漉してジュースにしています。 少し砂糖を加えて炭酸水で割るとビタミンCが豊富な飲み物になり、夕食のいいお供です。 ベリーを摘んでいると、斜向かいの教会の塔の上でぺリグリンファルコン(ハヤブサ)の雛がキイキイと甲高い声で鳴いているのが聞こえます。 これも毎年のことです。 鳥の仲間では一番飛ぶスピードが早いそうですが、鳴き声は庭に来るブラックバード(クロウタドリ)やロビン(こまどり)の方がずっと耳にやさしていい声をしているなあ、とつぶやいたりするこの頃です。

ローガンベリーとそのジュースです。あまりみかけないベリーですが、毎年、特に手入れもしないのに一杯実をつけてくれます。