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Enjoy a day out in the English Countryside

イギリス人の食事事情

イギリス人の食事事情

2023年7月1日

イギリスに長年住んでいて、イギリス人の食生活は時代と共に改善されているのか、と聞かれたら、残念ながらノーと言わざるおえません。あくまで私個人の意見ではありますが、ますます加工食品に頼ってきている印象があります。先日、BBCの番組で、イギリスは加工食品に使われるさまざまな添加物に対する規制がEUの国々に比べて緩く、このままでは国民の健康におよぼす悪影響は避けられず、肥満、糖尿病などの生活習慣病が増え続ける、と警鐘を促していました。

イギリスの代表的な家庭料理のコテッジパイです。ひき肉と野菜を煮てマッシュポテトをかぶせてオーブンで焼きます。付け合わせにはなぜか必ずグリンピース、横の野菜は株の一種でスエードです。

実際、スーパーで他の買い物客のカートを見ると、冷凍やチルドの出来合いの惣菜が目につきます。ほとんどの主婦が仕事を持っているこの国では、料理にかける時間が短く、日々の食事は簡単に済ませられるものになるのでしょうが。根底にはイギリス人の食に対するこだわり(文化?)が低いと思われます。料理をする人も短時間で用意できるものに頼ります。そこで人気があるのが瓶に入ったカレーやシチューのさまざまなソース類です。玉ねぎとチキンを炒めてこのソースを加えれば出来上がりです。スパゲティーのボロネーズ(ミート)ソース(スパッズボールとイギリス人は呼びます。も度々登場するメニューです。これも玉ねぎと挽肉を炒めたものに缶詰や瓶に入ったトマトソースを加えれば出来上がりです。ポークやチキンをフライパンで焼くのも一般的ですが、日本のように薄切りの肉がないので、簡単に炒めて、という訳にはいきません。それでも素材を使っているので、添加物の入った出来合いの総菜に比べればずっとましです。テイクアウトでピザを買う人もいますが、この物価の高騰下、スーパーの冷凍品やチルドのピザの方がずっと安くつきます。外食はというと、夕食は高いし、日本のように気軽に行けるレストランも少ないので、裕福な人は別として、一般の人(庶民)は、誕生日などの特別な日に行くぐらいでしょうか。

イギリス人の好物の一つ、バンガーズ(ソーセージの呼び名)&マッシュ。やはりマッシュポテトとグリーンピースを使います。玉ねぎをよくよく炒めて作るオニオングレービーをたっぷりかけて頂きます。

もちろん、少数派ではありますが、料理をする人もいます。ただ、伝統的はイギリス料理は煮込んだり、オーブンで焼いたりの時間がかかるものが多いので、手の込んだ料理はどうしても時間に余裕がある週末になります。サンデイローストはチキン、ラム、ポークなどの塊肉を時間をかけてオーブンで焼く代表的なこの国の伝統料理です。普段は簡単に済ませる食事も、週末だけは家族と一緒に時間をかけて楽しむ習慣は今も残っています。お年寄のカップル、料理が面倒という人たちも、日曜日のお昼にはパブで手頃な値段のサンデイローストを楽しみます。

 

一日に一回調理したものを食べれば、あとは簡単なもので済ませる、という習慣はイギリスだけではなく、ヨーロッパの国々の習慣でもあるようです。意外とつつましいヨーロッパ人の食生活に比べると、日本人はそれほど手間、時間はかけなくても、朝、昼、晩と調理した食事をする人も多く、習慣とはいえ、私にはぜいたくなことのように思えてきます。

長年イギリスに住んでいる私たちの食事はというと、つつましい内容ではありますが、標準的なイギリス人よりはずっと健康的な食生活と自負しています。シングルマザーの下で育ったジョンは食に冒険はしません。肉類も時々チキンか挽肉を使うくらい、魚類もほとんど食べないので、主に野菜中心となります。味付けにチーズを使うこともイギリスで覚えたものです。日本食もあまり食べないので、おいしい和食は日本に行った時に、と自分に言い聞かせています。限られた食材から作る自己流のレシピも時と共に少しづつ増えてきました。最近はジョンも週に1回位ですが料理本を見ながら料理をするようになりました。味の方は?マークですが、作ってくれるだけでありがたい、と思っています。お客さんにはなるべく、数は少ないですがイギリス料理を出すようにしていますが、それ以外は私の自己流の料理を提供しています。お客さんに喜んでもらえる秘訣は、とにかく野菜をたっぷり、です。他の国の人はわかりませんが、日本人のお客さんは、旅行中はとにかく野菜不足で、と皆さんおっしゃるのです。

 

最近訪れたコッツウォルドのスタンウエイ、スタントンの村です。何回も来て写真もたくさん撮っている村ですが、今回は丁度バラの季節でした。ちょっとピークは過ぎていたのですが、それでもコテッジをバックにしたバラはとてもイギリス的できれいでした。

この写真にバラはありませんが、教会の敷地から見た隣の館がとても雰囲気がよかったのです。