ウエールズの週末 / リンゴ、リンゴ、リンゴ

20 October 2013


oct 2013 003.JPG 8月の最後の週末にウエールズ南部にあるブレコンビーコン国立公園に一泊で行ってきました。8月後半はめずらしく宿泊の予約も入らず、ここ何年か、ジョンが頼まれる中国から来る15,16歳の子供の英語のレッスンも今年はなかったのです。(中国の富裕層の家庭の子供が、イギリスの私立学校の入学前に1-2週間、チェルトナムでホームステイをしながら英語の特訓を受けるのです。)ブレコンビーコンは7-800mの緩やかな山稜が広がっている地方で、公園内の一部はイギリス軍隊の訓練場にもなっています。チェルトナムから車で2時間ちょっと、比較的手軽に行ける国立公園なのですが、なかなか行く機会がありませんでした。今回はキャンプ泊です。久しぶりに使うキャンプ用品を車に詰め込んで、青空の下、朝の7時半にチェルトナムを出発しました。 oct 2013 013.JPG 10時前に着いた先は谷間のキャンプ場です。設備は水道の蛇口と近くの駐車場に着いている公衆トイレのみで、あとは広い野原があるだけです。夏休み最後の週末とあってキャンプ場は家族連れで賑わっていました。オートキャンプの設備がないため、みんな普通の車の横に大きなテントを張っています。キャンプ場は小さな子供やペットの犬がいる家族が気兼ねなく過ごせるホリデイとして人気があります。犬もしつけが良くできているせいか、ケンカもせず、何匹か一緒に伸び伸びと走り回っています。料金を払い、山用の小さなテントを張って、さっそくハイキングです。標高が低いので、1時間も登ると稜線に着き、あとは広くて長い平坦な遊歩道のような尾根道が続く楽々ハイキング。へザー(ヒース)のピンク色が青空に映えます。5時頃にはハイキングを終えてキャンプ場に戻ってきました。近くに元僧院の廃墟があり、その一角がレストランになっていて夕食を出しています。オープンするまで廃墟の塀に座って日が暮れていく様子を眺めながらのビールはなかなか雰囲気のあるものでした。翌朝も晴天、テントをたたんで駐車場に車を置いて、その日は谷を挟んで反対側の尾根歩きをして夕方にチェルトナムに戻ってきました。oct 2013 018.JPG
私達が行ったウエールズはイギリスの一地方と思われがちですが、イギリスの半独立ではありますが一つの国として、言語も文化もウエールズ独自のものを持っています。イングランドからウエールズに入ると、地名の表示が英語と共にウエールズ語が併記されています。とても発音しにくい、英語とはまったく異なるケルト語の一種です。イギリスの歴史は侵略の繰り返し、といってもよく、紀元前5世紀から住んでいたケルト族が、ローマ人、次にアングロ・サクソン人の侵略で段々と地方に追われていったのですが、最終的にフランスから来たノルマン人によって統合されました。ウエールズにはたくさんのお城がありますが、抵抗するウエールズ人に対してノルマン人が建てたものだそうです。山の多い地形が幸いして独自の言語、文化が生き延びたのでしょう。
「イギリス」というまぎらわしい日本語訳はだれがつけたのでしょうか。イングランドの訳だと思いますが、私達の認識では当然、ウエールズ、スコットランド、北アイルランドを含めてのイギリス国ですが、実はそれぞれが異なった国として存在しています。イギリスの正式な名前は The United Kindom of Great Britain and Northern Ireland (日本語訳は「グレイトブリテン及び北アイルランド連合国」)という長い名前ですが、普段は U.K. ないしは Great Britain と略して呼んでいます。同じ島国でも、単一民族の日本とは違い、私達にはわかりにくいヨーロッパの歴史の複雑さを感じさせらるイギリス国の名前です。ウエールズの首都、カーディフの郊外に、野外の国立歴史博物館があります。広い敷地内でウエールズ人の生活などを再現して500年の歴史を紹介しています。イギリスを訪れる際、余裕がありましたらウエールズのケルト文化に触れてみるのもおもしろいのではと思います。


oct 2013 023.JPG今年はリンゴが豊作で、9月はその処理で大変でした。去年は受粉期に雨が降ったせいで例年の十分の一ほどしか実をつけなかったのですが、今年は、春のリンゴの花も見事でしたが、実がなったリンゴの数も見事でした。ウエールズで週末を過ごした後、8月末から一ヶ月間ずっとお客様が続き、落ちていくリンゴを横目で見ながら片付けもままならず、一時は何本かある木の周辺は足の踏み場もないくらいリンゴで覆われてしまいました。スズメバチがそんな腐って発酵したリンゴを食べて、酔っ払ってひっくり返っている様子には笑えましたが、過去に2度刺されている私としてはガーデン用手袋なしではリンゴには触れない状態でした。時間を見つけては、もいだリンゴを友人、知り合いに分けていましたが、それでもありあまるリンゴ。ジョンが大きなダンボールに入れて、ご自由にお持ちください、と書いてに玄関先に置いたのです。近くに小学校があるので、通学途中に持っていってもらえれば、と思ったのですが、置いてから30分後、どれくらいはけたかな、と外を覗いてみたら、なんとダンボールごとなくなっていました。以前にもリンゴを入れた箱を置いたことは何回かあるのですが、箱ごとなくなったのは初めてです。誰かが車を止めて持っていってしまったようです。がっかりはしましたが、リンゴはまだまだあります。今度は私が、Free Apples と書いか紙を一緒に箱を置いたのですが、それも一日もたたないうちに箱ごと消えてしまいました。最近のイギリス人のマナーはどうなっているのか、と悲しくなります。でも、それでは、と私も考えました。洗濯物入れに使っている籠の取っ手と玄関の階段の手すりに自転車用の鍵のループを通したのです。さすがに鍵を壊してまでは持っていく人はいなかったようです。リンゴは順調に貰われていきました。落ちたリンゴは時間が許すかぎり拾い集めて、皮をむき、キズなしの部分だけをきざんで、これも庭に育つブラックベリーと一緒に煮て、それを袋に詰めて冷凍していきます。この煮リンゴにヨーグルトをかけてものはお客様の朝食用としていますが、一年分ともなると相当な量です。でも、地面に落ちているリンゴをみると、やっぱり、もったいない、という意識が働いてしまいます。完熟は甘くてとてもおいしいのですが、長持ちはしないタイプなので、一週間以上たつと柔らかくなり、味もぼけてきます。同じタイプのものを店先では見かけたことがないので、昔のリンゴの種類なのでしょうか。10月も中旬になってやっと庭の片付けも終わりました。 何でも過ぎたるは及ばざるがごとしです。

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